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【日帰り旅行】   つげの実 蔵田

2011年12月14日 | つげの実

11月9日に、つげの実で、日帰りの旅行に行ってまいりました。行き先は、品川のプリンスホテルで、地上38階の景色のよい懐石料理のお店で食事をして、その後に、アクアスタジアムという水族館で、アシカのショーを観覧しました。
食事は、個室でしたので、ゆっくりと落ち着いた雰囲気で、少し曇ってはおりましたが、すばらしい景色の中で食事をすることができました。本来は、コース料理で、1つ1つ料理がでてくるのですが、少しいつもとは違った豪華な気分を感じていただきたく、すべて並べていただきました。
普段は、少しずつ時間をかけて召し上がられるYさんも、すぐにぺロリと召し上がっておられビックリさせられました。
Fさんは、38階からの景色がとても気に入ったようで、食後、窓越しに座っていつまでも眺めていたいご様子でした。
アシカショーでは、それぞれ好みの席に座り、愛嬌のあるアシカの動きに、みなさん笑顔が多くみられ、ときには、ステージから、水しぶきも飛んできて、アシカの躍動感ある動きを感じることができました。
旅行では、毎年そうですが、入居者様たちの、いつもとは違ったお姿や表情を見させていただき、みな楽しんでいらっしゃったと思います。また、みなで元気に行かれたらと願っております。

01:44 | Posted by admin

【男気というものです】   ぶなの実1F 鈴木佳

2011年12月03日 | ぶなの実::ぶなの実1F

10月末に、ぶなの実Bユニット初の旅行に行ってきました。目的地は日光!小学校の修学旅行以来です。
初旅行という事もありまして、かなりミラクルな一泊でした。笑が、ミラクルな事もありつつ、ホテルの部屋ではカオスな一夜を明かすという、、、笑
全てがお初なものですから非常に疲れましたが、とてもよい経験になりました。
して今回は、その中でも一番のミラクルな出来事をお話ししようかなと。
二日目は午前中にチェックアウトをし「華厳の滝」に向かいました。
華厳の滝は入り口からエレベーターに乗ります。エレベーターが着いた先には70段の階段があり、エスカレーターもなく、手すりが付いているだけです。
70段、、、往復で140段。凶器でもあり、狂気。
登り切るであろう入居者さんと、途中でリタイヤするであろう入居者さん…と、いった感じに職員もなんとなく予想しておりました。
ところが!リタイヤするのでは?と思っていたMさんは手すりにつかまりふらつく足に気合を入れて、最後まで登りきったのです。Mさんは盲目の為、日常の発言も、後ろ向きな事が多い方だったのですが、そんなMさん「観光客が多いから、迷惑にならないようにしないと。ここまで連れてきてもらったのだから、登りきりますよ!」とおっしゃったのです。
階段を登りきると、滝を前に、水しぶきを感じていたのでしょうか、片手を上げ、ゆらゆらと手を動かしていました。
更に、追加ミラクル!帰りの階段も、手すりにつかまり下りきったのです!
戻ってきた時のMさんの表情は「どうだ!」と言わんばかりに自信に満ち溢れていました。
これが、大人の男の余裕、、、美味しそうにソフトクリームを召し上がる姿。。。
付き添っていたチーフは「男気を感じましたよ!」と興奮気味。
私はMさんのケア担当なのですが、旅行での担当は別の入居者さんだった為、この現場に居ませんでした、、、チーン。泣
補足として、私は華厳の滝も見ることなく、旅行担当の入居者さんと、ベンチで日向ぼっこしておりましたとさ。

15:52 | Posted by admin

【生きていく力】   ぶなの実3F 大和田

2011年12月03日 | ぶなの実::ぶなの実3F

ぶなの実が開設して早いもので約1年半になりました。当時から働いている私は、今現在で12名の入居者様と出会い、いろいろな思い出が甦ります。

●目が見えにくいながらも声で聞き分け、スタッフの名前を全員覚えてくれていたSさんは、特別養護老人ホームから病院へ。「大和田さーん」と呼んで頂いた事、嬉しかったです。
●経管栄養でがんばり、力強く手を握って時々「おはよう」と言ってくれたTさんは特別養護老人ホームへ行き、お亡くなりになりました。あの朝は「今日も1日がんばろう」という気持ちにさせてくれました。
●胃がんでお亡くなりになったNさんは、最後に私と一緒に誕生会で、巣鴨地蔵まで行きました。今思えば、痛みをこらえながらも笑顔でいてくれたのですね。犬や子供が大好きだった事、印象的でした。

この3名の方は、もうぶなの実にはいらっしゃいませんが、元気をたくさん頂きました。ありがとうございました。
私事ですが、10月に母の親友が事故に遭い、1ヶ月以上経った今でも意識が戻りません。私にとっても、第2の母の様に親しい関係の方です。
目は開きませんが、かすかに口や手は動き「まだ生きていたい」という想いが、手の温かさや握ってくれる力の強さで分かります。「生きていく力」はすごい!
現在、入居されている9名のぶなの実の皆さんも入・退院を繰り返される方が多いですが、奇跡を何度も見せてくれます。支えていきたい方が、私の周りにはたくさんいらっしゃいます。そしてまた、私も多くの方に支えられて、生きています。奇跡を信じて、私に出来る事は力になりたいと、毎日を送っています。
皆さん、これからも宜しくお願いします!

15:52 | Posted by admin

【敬老会】   とちの実 西田

2011年11月23日 | とちの実

こんにちは、とちの実の西田です。寒い季節となってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
9月の話になりますが、敬老の日に合わせてとちの実でも敬老会を行いました。
とちの実の最長老Tさんに乾杯の音頭をとっていただき、注文してあった懐石弁当を頂きました。そのお弁当箱に宮内庁御用達(!)という文字を見つけて入居者さん達も盛り上がって、普段よりも少し贅沢なお食事を楽しまれていました。
お食事をとることの出来ない入居者さんにはアロマのお花を贈り香りを楽しんでいただきました。Kさんのお部屋は現在チェリーの優しい香りで包まれています。
せっかくなので、全体で楽しめる何かを贈りたいと思い、どんなものが喜ばれるのか考えをめぐらせましたが、これがなかなか定まらず、入居者さんたちにリサーチしてみたりスタッフにアドバイスを求めたりして、童謡や歌謡曲などのCD、カラオケセット、落語やお笑いのDVD、などなど色々と候補が上がるなか、結局「男はつらいよ」のDVDを贈りました。
どんな物を贈ったら、どんな反応が返ってくるか、贈り物を選ぶ時はいつもドキドキします。相手のことを、笑顔を考えて、思案する時間は楽しいです。
今回は私と違う時代を生きている方々、手に取るCDやDVDのタイトルも、明治、大正昭和と幅広く、私の知らないものばかり。寅さんは時代背景が入居者さんに受け入れやすいかな・・・と考えて購入しました。
敬老会当日はバタバタしており落ち着いて鑑賞できなかったのですが、後日、寅さんを見ると、その時代に触れたような気持ちになり、とちの実の皆さんもこんな雰囲気の中で生活していたのかなあ?と想像が膨らみます。
今年は恐ろしい震災もあり、家族や友人など身近な人々と向き合うことの大切さを強く感じました。
贈り物を考えながら入居者さん達へ思いを馳せる時間も、向き合うことへ繋がっていくと思います。人と人との繋がり、向き合うことをないがしろにせず、ひとつひとつ築いていきたいと、皆でのんびり寅さんを観て、敬老の日の贈り物から、そんなことを改めて考えさせられました。

14:08 | Posted by admin

【つげの実での1年】   つげの実 川端

2011年11月14日 | つげの実

今年もあと、残り少なくなり、あっという間の1年だったと感じています。
入居者さん達みなさん協力し合いながら、食事を作ったり掃除をしたりしてくださり、みなさん、手際よくやってくださっています。男性の入居者さんも料理はしたこと無いと言いながら野菜を切ったり、盛り付けまで最後まで丁寧にやってくださいます。
夜には、最近読んでいる本の話を色々してくれる入居者さんもいます。映画や音楽の話をよくしてくださり、イングリッドバーグマンがお好きと仰っていたので、先日、家にあった「ガス燈」のDVDをお渡しすると大変喜んでくださり早速観てくれていました。他の入居者さんとも映画でも観にいきたいなと思いました。
今年は大地震もあり、入居者さん、スタッフみんなで外へ避難したこともありました。その時は、こういう時はどうすれば良いのか色々考えさせられました。
今年も残り僅かですが、つげの実の入居者さんが毎日元気に健康で過ごしていただきたいです。
よろしくお願いします。

01:44 | Posted by admin

【有する能力】   ぶなの実3F 井口

2011年11月03日 | ぶなの実::ぶなの実3F

こんにちは、ぶなの実Aユニットの井口です。ぶなの実のFさんの事を紹介させていただきます。
Fさんは、今年の7月から体調不良で1ヶ月ほど入院して体重が10キロ以上やせて入歯も入れられず食事を口から摂ることも出来ず寝たきりの状態で退院されました。
私がFさんと会ったのは退院した2日後でした。
他のスタッフには、「かなり出来ないことが多くて知らないと言われたスタッフもいた」と聞かされました。
でもお昼寝をしているFさんの様子を見に行ったときに、私に気付いて第一声が「ご飯まだなの」でした。そのあとも「美味しいもの食べさせてよ」「ここでは、ご飯だけが楽しみなの」と入居当時に一緒に料理していて私は料理を作る人というイメージがあるようです。
でも実際には、トロミをつけて水分摂取したり、料理はミキサーにかけて細かくして見た目も悪く美味しくないとがっかりさせていました。
数日たち目の前でホットプレートで焼きそばを作り、取り分けてミキサーにかけていると、置いていた菜箸でホットプレートから焼きそばを食べ始めました。
すぐに気が付きましたが嚥下を上手く出来たことから、そのまま食べていただきました。
それから1ヶ月、段階を踏みながら皆で意見を交換し見極めながら、今では普通に食事が出来ています。
林田代表からは病院では個々に対応できないことも多く、やらないことが増えて退院後には能力がかなり落ちてくることはあることだ。
でも元の環境に戻り退院前の生活環境を思い出しながら、ご自身で今までしていた生活を作り出すことが出来るのがグループホームの良いところだと仰っていました。
もちろんご自身の努力もすごいですが、声をかけ、一緒に過ごす他の入居者様やスタッフがいて1つの形になるのかなと考えます。
まだまだ未熟ですが、これからもFさんが出来ることが増えるようにお手伝いしたいと思います。
現在のFさんは排泄チューブをつけていますが、スタッフが協力することで掴まり立ちや伝い歩きが出来るようになりました。

15:52 | Posted by admin

【ぶなの実に入って、早くも1年が過ぎました】   ぶなの実1F 木村

2011年11月03日 | ぶなの実::ぶなの実1F

早いですね~!私は以前、勤めていた会社が倒産となり、失業保険と蓄えで、のんびりとは言いませんが、マイペースに職を探しておりました。
そして、求人広告で見つけたのが、この会社(有)自在です。資格もなく、介護経験など全くない状態、しかも認知症の症状など知るはずもなく、この会社に採用されました。
惹かれた理由は、なんと言っても事業所のネーミング!
きみさんち・のんびり家・お寺のよこ・とちの実・つげの実・そしてぶなの実!なんとも癒される名前なんだ~と、いいじゃん!と…でも、果たしてこの私に介護が勤まるのかと、不安もありました。…が、思い切って飛び込みました。
採用です!やった~!との事で、今に至るわけですが…
最初は、Aユニットでお世話になりました。
Aユニットは比較的落ち着きがあり、何だか女子寮の雰囲気があり、楽しい毎日を過ごさせて頂きました。「私、むいているかも…?」と思ったのも確かです(笑)
ですが、私が担当するのはBユニットでした。Aユニットとお別れするのは寂しいけれど同じ建物だし、がんばろ~ってな具合に、甘く考えておりました。
Bユニット開設当時、最初に入居されるAさんは、代表いわく「最強(とても生きる力の強い方)が入居されるかも知れない」と、そんな事も聞かされた事を覚えております。ですが、そんな事言われても、あまりしっくり来ず、まぁ、私の考えも甘かったのか…実際、とても強い方でした(笑)…いや、他にももっと凄い方はいらっしゃるかも知れませんが、私の中では最強でした。
Aさんが入居された初日も(細かく話すと長くなるので省略)圧倒されました。
入居されて何日目かのある日、自宅へ帰りたいという思いが募ってすごい勢いで、出て行きました。ですが、行きは何事も起こらず、無事だったのですが、帰りに事は起こりました。
帰宅途中にその知人が居るとAさんが言われ、知らないビルに入って行かれたのです。
私は焦りで、パニック状態でした。ビルの中の社員の方達が一斉にこちらを見るし、知人が見当たらないのを確認すると、2階に上がり、また探そうとされる。
そこの社員の方には「何の御用でしょうか?」と聞かれ、その間に私はAさんに精一杯、ここには知人が居ない事をアピール!…ですが、自立支援!という事が頭をグルグル!!どうすりゃいいの~(泣)
この時は正直辞めたくなりましたね(笑)対応の仕方が分からなかったのです。
今なら、もっとうまく出来ますが…(笑)
私達も人間です。分かっているけど、うまく感情のコントロールが出来なかったり…
基本的な事ではありますが、まずは人には欲求があり、私たちを必要とされる方は認知症だという事を頭に置いておくことですね♪

15:51 | Posted by admin

【今思うこと】   とちの実 村松

2011年10月23日 | とちの実

今年も早いもので残り3ヶ月となりました。今年は全事業所合わせて7名の入居者の方々が亡くなられました。
どっこいしょの記事でもお伝えしましたが、とちの実でも6月にHさんが亡くなられています。
とちの実は開設してから6年以上が経過し、4名の方々が亡くなられました。その内3名の方々は入院先で息を引き取られています。1名の方は私が夜勤のときに居室へ巡回に行ったときにはすでに息をしていなく、救急搬送し病院で死亡確認をしました。
その方は持病がお有りで、発作を起こし亡くなられました。今でももっと早く発見できれば、その方は生きておられたのではないかと思うことがあります。夜間居室巡回し、息をしていないOさんを発見し、気が動転し、あまりそのときのことが思い出せないというか思い出したくない…自分が苦しくなってしまうからという理由で、封印していまいした。
人には「死」があるということをなおざりにしていました。「死」=「恐怖」だと思っていました。その当時、退職も考えましたが逃げ出すようで、それに私が辞めることで亡くなられた入居者さんのことを否定している、もっと言えば福祉施設に入居されている方々を否定してしまうようで、心苦しく毎日自問自答しながら現在もとちの実で働かせている所存です。
今は「死」=「尊い」ことだと思います。人は亡くなられても終わり(無)ではないということをここで働かせていただいて教わりました。亡くなられた入居者さんたちは今も支援の中に生かされていますし、それぞれのスタッフの心の中に思うことが沢山あるからです。
Oさんのご家族にはあの当時大変お世話になりました。とちの実で働き続けられたのはもちろん私を支えてくれたスタッフたちのお陰ですし、ご家族にも大変助けていただきました。
当時、Oさんの思い出話を沢山させていただきました。皆さまその節は本当にありがとうございました。Oさんのご家族にはまたお会いしたいと思っております。

14:07 | Posted by admin

【つげの実から一歩外へ】   つげの実 久能

2011年10月14日 | つげの実

暑かった夏がようやく終り、入居者様方には熱中症の心配もなく外の空気に触れて頂ける季節になりました。
昼食、夕食ごとに食材の買出しや外食、またご自分で使用される日用品の買い物に出来るだけ多くの方に出かけて頂いています。
商店街にお神輿が通りがかった際に少し見に行ってみませんか?とお誘いしてみたり、夏祭りに参加してみたり(写真は駒込小の縁日での流しそうめんをされている風景です)ちょっとしたことでも機会を設け今日は何して楽しかった!といって頂けるように毎日の過ごし方を考え支援しています。
9月は入居者様と恒例になった東京ドーム観戦に行き楽しんで頂きました。
11月は全員で品川水族館に出かける予定で共通した良い思いでを作っていただければと思います。
私がここつげの実でお世話になって数年経ちます。
昨年まで行けていたお店やさんも遠く感じ頻繁に行けなくなってしまったり、エレベーターを使用する頻度も高くなっているのが現状ではあります。
一方でお変りなく軽快に歩かれる方や手を繋いで歩いていたのにシルバーカーを使用できるようになり行動範囲が広がった方もいらっしゃいます。
ちょっとした機会の積み重ねでいつまでも何処へでも行ける体力を維持していただければと思います。

01:43 | Posted by admin

【―弱気に、「グループホームは、ホントは、いいところなのか?」と考える―】   ぶなの実3F 佐久間

2011年10月03日 | ぶなの実::ぶなの実3F

僕らは、日々ホームを良いものにしようとし、利用者のためになることとは何かを考えているのだけれど、だからと言って、利用者が「ここにきてよかった」と思っているかどうかは別の問題だ。弱気になるようなことを書いてしまう。
よく考えてみると、利用者のほとんどが見学とか体験入居もなく、どんなスタッフが世話をしてくれるのか?とか知らずに、入ってくる。中には、「行けば分かると言われた」といって不本意ながら入居したとおっしゃる方もいる。そうしたときは、利用者の頭の中では「人さらいにあっているということである。だからときに、「家に帰りたい」とか、「家族にほったらかされている」とか訴えたり、「確かずーっとここにいる、何かおかしいと怒ったりすることのほうが、より僕たちの一般的・平均的な感覚に近い。そもそも、自分の家でもないところで、毎日「お泊り」していることのほうが「すごい」のだ。もっというと、グループホームに入居してずっと暮らしているお年寄り達はもうそれだけで大したものだと思うのだ。長く暮らしているとどのような心境なのだろうか?
僕は弱気になり、グループホームに入居されたことをどのように思っているか?という質問を或る利用者にした。
久しぶりにのんびり家に勤務することがあったので、親しい間がらのHさん(確か入居6年目くらい)に聞いてみた。
●質問①「Hさんは、以前のぼろぼろアパートののんびり家と、今のきれいなのんびり家と、どっちがよかった?」
(のんびり家は、2年ほど前に古い木造家屋から、同じ文京区内のとてもデラックスでピカピカな物件に移転しました)
回答①「前のは前のでよかったから、どちらがいいとはいちがいには言えないよ」
●質問②「ひとりで暮らしていたころと比較して、のんびり家にきてよかったと思う?」
回答②「そりゃ、のんびり家にきてよかったと思う。ひとりだと寂しいから」
●質問③「もっと早くにのんびり家に来れた方が良かったと思う?」
僕は、「うん。早く来ればよかったよ」という世の中を達観した仏さまのような、元気づけてくれる答えを予想し、ちょっと期待してもいた。ところが答えは意外だった。
回答③「ううん。早く来ればよかったとは思わない。頃あいってものがあるんだよ」
ずーん、ときた。この答えは、スタッフをぬか喜びさせるでもなく、さりとて、がっかりさせるでもなく、楽館的に考えると「住めば都」という言葉もあるし、そういうことかな。いや、いや、それよりももっと奥が深いぞ。
ちょっと以前は高齢者の施設で、「ここには、毎日夢いっぱいの楽しい生活が待っています(はやくいらっしゃい)」みたいな歌い文句や宣伝があったりしたけど、それとは、まったく
対極なスタンスだよな。つまり、ほんの少しの夢とか、ちょっと気持ちが穏やかになる楽しみとかがあるなんていうのは、なかなか売り文句にも宣伝にもならないくらい当たり前な訳なんだな。ラッキーな期待を一杯にして来てがっかりされるよりは、「施設に入れられるなんて」と、少し覚悟して入居しながらも、「思っていたほど悪いところじゃないじゃんか。お兄ちゃん(お姉ちゃんでもよい)が面倒みさせてくれ、居てくれというから、その顔をたててもう少し居てやったるか」くらいに利用者に思ってもらえる、そういう場所であり続けることは大事だよな、と考えて妙に力が抜けた。
思うに、グループホームが、めくるめく魔法的な世界の連続とか、スタッフのアクロバティックな技とか発想とか、に依っているのではなくて、利用者のとても小さな力にこそ大きく依っているのだということを思ったりもして、私を弱気にさせた頭の中の霞(かすみ)が少し晴れた。

15:51 | Posted by admin