12月号の「ぶなの実1F」の記事はありません
2017年11月30日 | 編集後記
私は観ていませんが、ある医者のドラマで「私、失敗しませんから」と言う決め台詞を言うものがあったと思います。
私たちの仕事、「認知症状態にある方々の生きる力を知り、それを使って豊かに生活できるように支援する。」と言うことは、失敗することの連続です。
思い込みや知らないこと、気づいていないことに足を取られ、想定と違う解決が待ち受けます。
先日、ある入居者さんの所在をつかむことができずに、職員たちと大慌てをしたことがありました。この寒い季節ですし、何かあったら大変だと正直焦りました。
これまでもそのようなことはたくさん起こったのですが、今回は全然違う解決でした。なんと、その方がご自分で公衆電話から事業所に電話をしてくれたのです。
「あー、知らないとは、何とも無駄なことが多くなることか。」と安堵する気持ちを味わいながらもそう思いました。
自分の力で解決できたことは本当に素晴らしいですし、有する能力を発揮し自己決定の結果、職員(私も含め)を振り回すことができること自体が、その方の生きる姿として素晴らしいのですが、私たちは、いつも自らの力の無さを痛感させられます。
「私たち、失敗を必ず活かしますから。」今かろうじて言える言葉としたら、このような表現かな。と思っています。しかし、いつでも自分たちは知らないことに向かい合い、知ることができた時のワクワクとした気持ちでいることとと、知らないということを知っている強さが、この仕事の根底にあるのだと考えています。(林田)
2017年11月30日 | つげの実
17年10月9日14時7分、つげの実のご入居者K様がお亡くなりになられました。89歳でした。
K様は、約9年間、つげの実で生活をされました。ちょうど、つげの実が定員が7名から9名になったときにご入居された方でした。
ご入居当初から、明るく、いつも笑顔でお過ごしになられておりました。
スタッフがK様の座っている横を通りますと、「おい!」とスタッフの体をたたき、がんばれよ、といった感じでいつも温かく接してくださいました。
つげの実の外階段を、手すりに平行に横向きながら階段を登られていたり、外出では、入居者さんスタッフ全部で3名で演劇を観にいかれ、大感激して帰って来られたり、高層ビルのレストランでランチを食べられたり、旅行では、お猿さんの芝居劇場で、一番前に座り、もう少しでお猿さんと握手をしてしまうのではないかとヒヤヒヤしたりなど、たくさんの楽しい思い出をいただきました。
晩年は、なかなかご自身がお考えになられていたようにはいかなかったのかもしれません。しかし、皆さんから、ずっと親しまれていたことは確かです。
そんな中、最後は、居間のテーブルの中央で皆さんに見守られるかのように、静かにねむられるかのように息をひきとられました。
お亡くなりになる2日前、私は夜勤明けだったのですが、朝お部屋に伺うと、いつもよりも多く目を開けられて私のほうをずっとみつめられていました。
もしかするとですが、「いままでありがとうね」と言ってくださったのかと思います
と、とても目がうるんでしまいます。
心よりご冥福をお祈りいたします。
2017年11月30日 | とちの実
毎年10月にとちの実の、大きなイベントとして旅行があります。私は、ありがたい事に5回もご一緒させていただいています。前回は全員参加の一泊旅行で、とても大変でしたが、やりがいもあり皆様の笑顔もたくさんいただきました。
今回も、入居者様にお代わりはなかったのですが、残念ながら、全員参加という事にはなりませんでした。
お二人が体調を考慮して欠席、お一人は参加をしたくないと断られ、あと、お一人は当日ドタキャンで、出発間際に不参加となりました。あの手この手で誘うも、かたくなに拒否され、断念しました。
結果、ご入居者様5名と、職員3名で東京スカイツリーへ観光にいきました。
お留守の方の事を思うと後ろ髪を引かれるおもいでしたが、出席されたかたが、楽しく安全に、旅を堪能できるよう気持ちをきりかえて向かいました。
お天気にも恵まれ、往路の介護タクシーの中では、車窓を眺め、お菓子をつまみながら楽しく会話もはずみました。皆さんとても生き生きした様子です。
目的地に着いて、早速展望台へ向かいました、皆さん多くは語られませんが、非日常な様子にやや緊張ぎみでワクワク感をもった表情と、ここはどこ?見たいなと、借りてきた猫状態の表情が交差しているように見えました。
今回に限らず、いつも旅行時に思うのですが、皆様の社会的な意識が強くなるのか、排泄の支援をさせていただく方々も、失禁等も少なく、トイレ休憩でしっかり自然排泄をされる事にいつも関心しています。
そして、昼食も通常の量よりはるかに多めですが、もりもりと完食される様子は、見ていて気持ちいいしほほえましいです。今年も、それぞれが好きな物を注文し、食後のデザートもいただいてお腹一杯になられたと思います。
ゆっくりと、食事を堪能してもらい帰路に向かいました。
ここまで、事故もなく皆様が楽しまれ、予定がこなされ、少しほっとしてしまったのか私は帰りの介護タクシーの中で、うつらうつらしてしまいました。しかし、ご入居者様は、疲れた様子も見せず、目をぱっちり明けて、外の景色を眺めながら帰宅されました。
ご入居者様が、楽しんでいただけるように企画実行する旅行ですが、職員の方が新たな発見や、人のパワーに感動させられる旅行でした。
次回は全員参加を目指して、よい企画ができればと思います。
2017年11月30日 | ぶなの実::ぶなの実3F
お世話になり半年が経ちますが、相変わらず思いとは違う出来事の連続で、利用者さんにも、教えて頂く先輩方にも、未だにたくさんの感動を頂いています。
利用者さんのその瞬間のご意思と、もう少し先の幸せが相反する場面に悩み続け、ただただ時間ばかりかけていたときに、それぞれの利用者さんとの「関係性」について考えてみようというアドバイスを頂き、新たな試行錯誤の機会を得ることができました。「親しく」というのはプライベートでかなり苦手な分野なのですが、それでも鼓舞して続けてみると同僚ができた、というように喜んで一緒に働いて下さる方がいて、ご機嫌を伺って損ねてきた方が頼りになる先生風に接すると安心され、コイツには愚痴を吐き出せるし嫌いなお風呂は断れると逃げ道にされ(ナメられ)、一生懸命お願いすると嫌になるけれど四の五の言わず当然、という顔をすると「お前に任せた」と言わんばかりに信頼して下さって…等々、十人五十色の私との「関係性」に注目していくうちに、業務や社交辞令ではない、家族のやりとりのような遠慮のない雰囲気を感じてもらえてるのか
なぁと胸が熱くなる瞬間が格段に増えてきました。「大変なお仕事ですね」と労って頂くことが多々ありますが、その度に返す「楽しいですよ、おかげさまで」という言葉は結構本気なのです。
これから寒くなっていきますが、一緒に笑いながら風邪を吹き飛ばせるよう自身と皆さまの体調に気をつけて、「関係性」も発展させていきたいと思います。
2017年10月31日 | 編集後記
今年の大河ドラマは、西郷隆盛ですね。昨年の大河ドラマは観なかったのですが、今年は見てみようかな、と思っています。
それは、西郷隆盛の名言集にこのようなものを見つけたからです。
「人間がその知恵を働かせるということは、国家や社会のためである。だがそこには人間としての「道」がなければならない。電信を設け、鉄道を敷き、蒸気仕掛けの機械を造る。こういうことは、たしかに耳目を驚かせる。しかし、なぜ電信や鉄道がなくてはならないのか、といった必要の根本を見極めておかなければ、いたずらに開発のための開発に追い込まわされることになる。まして、みだりに外国の盛大を羨んで、利害損得を論じ、家屋の構造から玩具にいたるまで、いちいち外国の真似をして、贅沢の風潮を生じさせ、財産を浪費すれば、国力は疲弊してしまう。それのみならず、人の心も軽薄に流れ、結局は日本そのものが滅んでしまうだろう。」
すでに、日本は手遅れのような気もしたのですが、気を取り直して、これからの世代の方々に少しでも軽薄ではない日本を伝えたいと思いました。
2017年10月31日 | つげの実
最近、UさんがNさんとDさんを誘い買い物や散歩にでかけます。
ある日は、UさんがHさんを買いものに誘いその姿を見てIさんやEさんが「え、買い物行くの?私も行く」と席を立ちます。
Uさんがある日、「散歩へ行ってきます」と出かけて行きました。
つげの実に帰って来て汗をかきなら、私の顔緒をみるなり「すごく楽しかったーー。」と、イキイキした笑顔でした。
自分の食べたいものを買いに行く、言いたい事は伝える、時には厳しく優しい。
まわりへの配慮ができていて、とても思いやりがあり、料理の手順を完璧に丁寧に行う。
Uさんが人との関わり合い方をみていると本当に素敵だなと思います。
こんなふうに思えるまで色んな事がありました。「あなたはホント何も出来ない人なのね、新山さんにやらせなさい」など強く指摘され落ち込む日もありました。
やりすぎないように演じていたのに逆効果でした。笑
悩んでは乗り越えての繰り返しですが、つげの実には素敵な瞬間がたくさんあります。
これからもたくさん発見していきたいです。
2017年10月31日 | とちの実
4月からとちの実で勤務しています石川です。以前は全く別の業界で働いていましたので資格も経験もありません。今までの仕事はどちらかと言うと受け身でしたが、今ではこちらから発信していかなければなりません。特に時間はとても大切で介助をいかに素早くきちんとできるかを求められ、元々のんびり屋の私はもしかしたらこの仕事は向いていないのかな、と悩んだことが何度もあります。今でも悩むことばかりですが、もう少し頑張ろう、頑張りたい、と思ったことのひとつを書かせていただきます。
笑顔の素敵なAさんですが、ご自分からの意思表示が難しくなってきています。ある日の排泄介助のこと、全て交換しなければならないくらい服が汚れていました。慣れていない私は手際も悪く処理や着替えに物凄い時間が掛かってしまいました。そのためとても疲れた様子で便座に座っているAさんを見て泣きそうになりました。すると突然Aさんから「ごめんね」と言われました。驚きましたが「謝らないでくださいね。私こそごめんなさい。」と言い、全ての着替えを終わらせてお席に戻る時のAさんはホッとしたのか、またいつもの様に元気になっていました。
認知症は言葉の理解力は落ちても感情や表情を読み取る力は残るといいます。
謝ることは全くないAさんに「ごめんね」と言わせてしまう表情をしてしまった私は申し訳なくてとても反省しました。
人間ですから誰でも感情は出てしまうことはあります。しかしこの仕事は出来るだけ自分の感情をコントロールして入居者様が笑顔になれるように私たちも笑顔でいなければならないことに気づかされました。そして今後は入居者様に「ごめんね」と言わせないようにしたいです。
先輩スタッフの介助の様子を見たり経験談を聞いて良いところを真似して自分の物にし、スムーズに的確な支援をしていけたらいいな、と思います。まだまだ出来ていないことばかりですが、頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。
最後に、Aさんはユーミンがお好きとのこと。私も大好きなので、これからは居間でユーミンのCDをたくさん聴きましょうね!