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2017年12月31日 | 編集後記
先日、同業の経営者たちと集まりを持ちました。
日ごろは、遊び仲間として集まることが多いのですが、今回は、年明けと言うこともあり真剣に話し合いました。
その検討課題は、どうやって、後進を育てるか。
どうやって世の中に、認知症対応型共同生活介護での仕事が魅力的で面白いかを伝えられるか、でした。そこに集まった仲間は、認知症状態にある方々を真剣に10年以上支えてきた仲間なのです。これまでは、自分の会社の運営に追われていましたが、そろそろ、社会の中に私たちが培ってきたことを受け止められる人たちを育てなければ。と考えだしたのです。
その為にはこの仕事の魅力を、同じ仕事をしている人たち、そして世の中に伝えていかなければなりません。
1つ目の課題については、とにかくこれまでの認知症状態にある方への支援と、生活の支え方をじっくり伝えなければという話になり、各会社の職員さんを集め、会社負担で宿泊研修など密度の高い研修を行おうということで話しが進んでいます。単純に、認知症ケアとか介護技術とかではなく、これまでの歴史や精神、考えなども含め伝えたいよね。と話しています。
もう1つの課題は、世間に向かって10年後の認知症対応型共同生活介護の在り方をイメージして伝えられるようにしたいという話になりました。
こちらは、まだまだ細かい検討課題が多いのですが、映画を作る。や、AIを取り入れるためにその研究をしている人たちとコラボしよう。というようなことをやりたいよね。と話しています。
どこまでできるか、こちらはハードルが高いですが。10年なんてあっという間です。今はじめないと、認知症になったら、ロボットに抑制されるような介護を受け、ぼんやりと殺されるような生活にさせられてしまう可能性も大です。
この10年、大切にしたいと思っています。
2017年12月31日 | つげの実
お久しぶりのパート3になります。1対1の女性利用者様同士の戦いです。
以前から、どちらからともなく目がバチッ!と合うと、勃発します。とてもこの文面では書けないようなすごい言葉を発せられます。何よ!!ここのオーナーに言うわよ!巣鴨に行きなさい!(なぜに巣鴨?)までがギリギリ書けるところです。パート2を書かせていただいた時に、女性同士のケンカは、女性が入るとこじれるような予感がしますと書いたのですが、その通り、仲裁に入ると100倍になって返ってきます。とても太刀打ちできません(泣)。そんな時は、職員は、それぞれ、あらゆる手を考えます。二人の間に椅子を置いて座り、新聞を整理する作業をするスタッフ。しばらくすると静かになり、その作業を見て、ふいに手伝って下さる時があります。気付いたら一緒に新聞折りの作業をしています(笑)。ある時は、お客様がいらっしゃる時に言い合いが始まります。その時は、今お客様がいらっしゃるので今は控えて静かにしていただけますかと言うと、しばらく静かにして下さいます(笑)。
職員だけではなく、ある女性利用者様は、二人の間に立ちはだかって、仲裁に入って下さいます。そのお姿は、なんとも勇ましく堂々とされています。職員がとっさに仲裁できない時などは、ありがとうございますと、ひそかに感謝しております。
まったく女という生き物は‥‥。かくいう私も女子ですがね(照)。
いつまで続くのでしょうね・・・。ただ、今後も書き続けるでしょう、そこに女性がいる限り・・・。
2017年12月31日 | とちの実
ご近所さんのご厚意で毎年、畑でのジャガイモ掘りに参加をさせて頂いています。今年の夏もお誘いを頂き、行ってきました。昨年はBさんCさんとで行きましたが、今年は畑の場所が変わったのと、車椅子が入れないといった事情などあって、Aさんと私の二人だけでの参加です。お天気にも気温にも恵まれ、ご近所さんと、お孫さん達と一緒に近くの畑へ行ってきました。
Aさんは一昨年にも一緒に行きました。そのときはジャガイモの山の前にしゃがんで「よってらっしゃ、よってらっしゃい」とはしゃいでいらっしゃいましたが、この二年間でそれなりに認知症が進みました。今年は楽しく参加することができるのだろうかと少し心配をしていましたが、今回も大好物(笑)である子供たちに会って大喜びされ、デコボコした畑の中をひょいひょいと身軽に歩いて、掘り返したジャガイモを拾い上げていらっしゃいました。二年前のように集中力は続かず、あまり落ち着かないご様子も途中から伺えましたが、Aさんも私も、土と触れ合ってとても癒やされた一時を過ごすことができました。お誘いをいただき、本当に感謝です。ありがとうございました。
(おすそ分けをしてもらったジャガイモは煮物やポテトサラダにして皆で美味しく頂きました。)
2017年12月31日 | ぶなの実::ぶなの実3F
ぶなの実の象徴というべき存在だったご入居者のKさんが、10月で他の施設へ移るためにご退去となりました。Kさんこの半年ほどで、生きる姿が変わっていきました。その最大要因は歩けなくなったことだと考えます。元々よく歩き、ふくよかな方だったので膝に水が溜まりすく、水が溜まると痛みで歩けなくなるので、水を抜きに通院をしていました。
今年の2月に水が溜まり病院へ行きましたが、Kさんが動いてしまうので針を刺すことは難しいと言われ、そのままぶなの実に戻られ、痛いながらにも歩かれていました。しかし痛みがあるので、以前のような軽やかな歩きとはいきません。そこから少しずつ歩くことを止めてしまいます。スタッフがお声をかけても立ち上がりもしなくなっていきます。歩かなくなるとお喋りもしなくなっていきました。お喋りをしなくなると大好きだったお食事も摂らなくなっていきました。1日何リットル飲んいでるの??と驚くくらい飲んでいたお茶も飲まなくなり、全てのことに介助が必要となっていきました。
歩かなくなったことにより認知症の状態が悪化し、歩くこと食べるといったこともわからなくなっていったようでした。
でも最後まで自分のことは自分でするという確固たる意志を時折感じることがありました。本当は介助されて食べたくもないし、トイレだって1人で行きたい!!
Kさんへの歩くことへの支援をもっと行っていれば、生きる姿を変えずにいられたのではないかと、今も後悔の念は尽きません。Kさんには大変申し訳ないのですが、私に歩くことの大切さを身をもって教えてくださいました。この後悔を今いるぶなの実のご入居者にはしないよう支援を続けていきたいと思います。
Kさんありがとうございました。
2017年11月30日 | 編集後記
私は観ていませんが、ある医者のドラマで「私、失敗しませんから」と言う決め台詞を言うものがあったと思います。
私たちの仕事、「認知症状態にある方々の生きる力を知り、それを使って豊かに生活できるように支援する。」と言うことは、失敗することの連続です。
思い込みや知らないこと、気づいていないことに足を取られ、想定と違う解決が待ち受けます。
先日、ある入居者さんの所在をつかむことができずに、職員たちと大慌てをしたことがありました。この寒い季節ですし、何かあったら大変だと正直焦りました。
これまでもそのようなことはたくさん起こったのですが、今回は全然違う解決でした。なんと、その方がご自分で公衆電話から事業所に電話をしてくれたのです。
「あー、知らないとは、何とも無駄なことが多くなることか。」と安堵する気持ちを味わいながらもそう思いました。
自分の力で解決できたことは本当に素晴らしいですし、有する能力を発揮し自己決定の結果、職員(私も含め)を振り回すことができること自体が、その方の生きる姿として素晴らしいのですが、私たちは、いつも自らの力の無さを痛感させられます。
「私たち、失敗を必ず活かしますから。」今かろうじて言える言葉としたら、このような表現かな。と思っています。しかし、いつでも自分たちは知らないことに向かい合い、知ることができた時のワクワクとした気持ちでいることとと、知らないということを知っている強さが、この仕事の根底にあるのだと考えています。(林田)
2017年11月30日 | つげの実
17年10月9日14時7分、つげの実のご入居者K様がお亡くなりになられました。89歳でした。
K様は、約9年間、つげの実で生活をされました。ちょうど、つげの実が定員が7名から9名になったときにご入居された方でした。
ご入居当初から、明るく、いつも笑顔でお過ごしになられておりました。
スタッフがK様の座っている横を通りますと、「おい!」とスタッフの体をたたき、がんばれよ、といった感じでいつも温かく接してくださいました。
つげの実の外階段を、手すりに平行に横向きながら階段を登られていたり、外出では、入居者さんスタッフ全部で3名で演劇を観にいかれ、大感激して帰って来られたり、高層ビルのレストランでランチを食べられたり、旅行では、お猿さんの芝居劇場で、一番前に座り、もう少しでお猿さんと握手をしてしまうのではないかとヒヤヒヤしたりなど、たくさんの楽しい思い出をいただきました。
晩年は、なかなかご自身がお考えになられていたようにはいかなかったのかもしれません。しかし、皆さんから、ずっと親しまれていたことは確かです。
そんな中、最後は、居間のテーブルの中央で皆さんに見守られるかのように、静かにねむられるかのように息をひきとられました。
お亡くなりになる2日前、私は夜勤明けだったのですが、朝お部屋に伺うと、いつもよりも多く目を開けられて私のほうをずっとみつめられていました。
もしかするとですが、「いままでありがとうね」と言ってくださったのかと思います
と、とても目がうるんでしまいます。
心よりご冥福をお祈りいたします。
2017年11月30日 | とちの実
毎年10月にとちの実の、大きなイベントとして旅行があります。私は、ありがたい事に5回もご一緒させていただいています。前回は全員参加の一泊旅行で、とても大変でしたが、やりがいもあり皆様の笑顔もたくさんいただきました。
今回も、入居者様にお代わりはなかったのですが、残念ながら、全員参加という事にはなりませんでした。
お二人が体調を考慮して欠席、お一人は参加をしたくないと断られ、あと、お一人は当日ドタキャンで、出発間際に不参加となりました。あの手この手で誘うも、かたくなに拒否され、断念しました。
結果、ご入居者様5名と、職員3名で東京スカイツリーへ観光にいきました。
お留守の方の事を思うと後ろ髪を引かれるおもいでしたが、出席されたかたが、楽しく安全に、旅を堪能できるよう気持ちをきりかえて向かいました。
お天気にも恵まれ、往路の介護タクシーの中では、車窓を眺め、お菓子をつまみながら楽しく会話もはずみました。皆さんとても生き生きした様子です。
目的地に着いて、早速展望台へ向かいました、皆さん多くは語られませんが、非日常な様子にやや緊張ぎみでワクワク感をもった表情と、ここはどこ?見たいなと、借りてきた猫状態の表情が交差しているように見えました。
今回に限らず、いつも旅行時に思うのですが、皆様の社会的な意識が強くなるのか、排泄の支援をさせていただく方々も、失禁等も少なく、トイレ休憩でしっかり自然排泄をされる事にいつも関心しています。
そして、昼食も通常の量よりはるかに多めですが、もりもりと完食される様子は、見ていて気持ちいいしほほえましいです。今年も、それぞれが好きな物を注文し、食後のデザートもいただいてお腹一杯になられたと思います。
ゆっくりと、食事を堪能してもらい帰路に向かいました。
ここまで、事故もなく皆様が楽しまれ、予定がこなされ、少しほっとしてしまったのか私は帰りの介護タクシーの中で、うつらうつらしてしまいました。しかし、ご入居者様は、疲れた様子も見せず、目をぱっちり明けて、外の景色を眺めながら帰宅されました。
ご入居者様が、楽しんでいただけるように企画実行する旅行ですが、職員の方が新たな発見や、人のパワーに感動させられる旅行でした。
次回は全員参加を目指して、よい企画ができればと思います。