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【編集後記】  理事長 志寒

2025年03月11日 | 編集後記

ファイル 636-1.jpeg立春も1か月を過ぎ、日の長さを感じるようになりました。春は名のみの風の寒さにも関わらず、この日が長くなる時季を光の春と呼ぶそうです。とても好きな言葉です。この言葉の源流はユーラシア大陸北部とのこと。厳しい寒さの中で春を待ち望む、そんな北国の心情が感じられますね。
「お寺のよこ」の近くの駒込大観音で有名な光源寺さまは、梅の名所でもあることから、梅の大観音としても知られているそうです。境内を訪れてみるとまさに咲きこぼれるような花盛りでした。福寿草、水仙、蝋梅、そして梅。寒さが厳しい固いつぼみの時季でも、じっと春への思いを大切に抱えているようで、早春の花は、けなげな中に秘めている強さを感じさせます。決して楽なことだけではなかったであろう入居者さんの人生に思いをはせるとき、私はいつも、梅の花のイメージが心をよぎります。

09:22 | Posted by jizai

【節分】  ぶなの実 大塚

2025年03月11日 | ぶなの実::ぶなの実3F

ぶなの実では毎年恒例の恵方巻作りと豆まきを行いました。
最初は恵方巻作りです。
恵方巻作りといえば、ぶなの実ではSさんです。以前、お寿司屋さんで働いていた時に培った技術はプロ級です。「恵方巻はこうやって四角く作らないといけないのよ」と教えてくださいます。皆さん、どの具材を入れたら美味しいか、また「どれを入れたっけ?」と試行錯誤しながらご自身の恵方巻を作る事が出来ました。
皆さん、西南西を向き、願い事をしながら、美味しく恵方巻を頂きました。
ファイル 635-1.jpg次は豆まきです。
鬼のお面を見るや否や鬼役をNさんが買って出てくれたのです。「この棒から豆が出たら面白いわよね」などアイデアも出してくれました。
まずは鬼さんから開会のひと言「諸君、今年も鬼がやって来た!心しておくように」
いざ、豆まきです。皆さん、鬼に向かって「鬼は外、福は内」と豆を投げますが、
今年の鬼さんは一味違います。
Oさんには「あなたはいつも気配りしてくれてありがとう」
Sさんには「あなたはいつも元気でここを明るくしてくれてありがとう」
Yさんには「あなたは髪の毛が黒くて綺麗ね」
Tさんには「年の数だけ豆は食べるのだぞ~」
と皆さんに感謝の気持ちと優しさ、またユーモアを伝えてくれる鬼さんでした。
これでは「鬼は外」とは言えませんね~。
笑いの絶えない豆まきになりました。可愛い鬼さん、ありがとうございます。
今年も楽しい節分となりました♪

09:19 | Posted by jizai

【男はつらいよ、をやっと観ました】  とちの実 中島

2025年03月11日 | とちの実

先日、余暇の時間に入居者の皆さんと一緒に映画「男はつらいよ」のDVDを観ました。この映画は入居者さんの世代にとても人気がありますが、私はこれまで観たことがありませんでした。
 上映が始まると、寅さんが登場するたびにAさんが「寅ちゃん!」と声を上げて喜ぶ姿に驚きました。Aさんが人の名前を口に出されることって最近ではほとんどないのです。
映画が進むにつれて、寅さんのユーモアあふれるキャラクターと下町人情に満ちたストーリーに引き込まれ、気が付けば私も一緒に笑ったり、終盤の結婚式のシーンでは涙が零れそうになりました(不惑も近くなると涙腺が緩くなりますね)。
「男はつらいよ」は、昭和の風景や人々の温かい交流が描かれていて、世代を超えて楽しめる映画だなと感じました。入居者の皆さんにとっても、懐かしい思い出がよみがえるのか、上映中穏やかに映画を楽しんでいる様子でした。認知症のため、後で映画のことを思い出すことが難しいかもしれませんが、皆さん観ている間はとても楽しそうに過ごされていました。
とちの実では日常生活の支援が中心になっていますが、時々このようなDVD鑑賞のような余暇活動も取り入れています。映画鑑賞は、入居者さん方が場を共有し心の豊かさを感じる大切な時間になると思います。映画が終わった後も、入居者の皆さんの表情からは充実した時間を過ごせたことが感じられました。

09:17 | Posted by jizai

【Eさんの変化】  ぶなの実 宝田

2025年02月04日 | ぶなの実::ぶなの実3F

あけましておめでとうございます!ぶなの実の宝田です。
今日はEさんについてお話をさせて頂きます。
Eさんが入居されたのが令和5年の8月頃で、ぶなの実に来てから1年半ほど経ちました。
入居されてすぐの頃は笑顔もあまりみせず無表情な事が多く、すぐにお部屋へ戻られてしまい、何時間も出て来られないような状態でした。ですが、段々と「アリが十匹~(ありがとう)」や「ニューヨーク(入浴)に行ってくるわね」など、ギャグをいうようになり、お笑い番組を見ながら大笑いされたり、レクリエーションを皆さんと楽しんだり、カラオケが好きで沢山歌われたり、職員と卓球をしたり、他の入居者さんに声をかけておしゃべりをしたり、一緒に腕を組んで買い物へ行かれたりと、今ではとても笑顔も多く楽しそうに生活をされております。
きっと僕たちの支援次第では、入居当初の無表情なままの笑顔の少ない生活になっていた可能性もあると思います。Eさんにとって、レクリエーションやコミュニケーションをとることがとても大事だったんだなと、改めて思いました。
まだまだEさんとやりたいことや行きたいところがありますので、心も身体も元気に過ごしていけるように支援していきたいです。

10:54 | Posted by jizai

【編集後記】  理事長 志寒

2025年02月04日 | 編集後記

- 庭先掃除をして春を迎えましょう -
ファイル 633-1.jpeg心なしか寒さのゆるむ日がみられるようになってきました。気が早いですが沈丁花のつぼみに春の訪れを感じます。ところが、そうなってくると気になるのが、スギ花粉です。今年はすでに飛散が始まっているようで、私も肌荒れや口の中のいがらっぽさ、鼻のムズムズが始まりかけています。
一昔前は、花粉症は若者特有のものなんてイメージもあり、免疫機能が老化してくると花粉症もおさまるなんて言説もありました。私もそこそこ良い歳になってきましたが、おさまる気配はありません。それどころか、花粉症のご入居者さんもいらっしゃいます。どうもその言説もあやふやなものだったのでしょうか。
日本国民の4割以上といわれるスギ花粉症。もはや国民病といわれるまでになったのは、戦後の住宅需要にこたえるため、スギの大量植林が行われたからだといわれています。高度成長期、これからは人口が増え続け、経済も伸び続ける。その高揚の夢のあとがこのスギ花粉症なのでしょう。今になると、その高揚がうらめしいような、うらやましいような複雑な思いになります。
スギと共に咲く花々もあります。ましてやスギも何も人間を苦しめようと花粉を飛ばすわけでもないでしょう。人口減少社会が叫ばれて久しい現代。その情勢の中で、花粉症も認知症も、うまく付き合っていく必要があることには変わりありませんね。

10:54 | Posted by jizai

【5年間と、自分の人生を振り返って。】  とちの実 倉島

2025年02月04日 | とちの実

皆様、明けましておめでとうございます。とちの実 倉島です。
自分がとちの実に入り約5年の月日が経ちました、時の流れとは早い物ですね。
今回は身の上話になってしまうのですが、介護業界に入ろうと思った一つの要因であり、自身の人生の大きな分岐点となった出来事をお話したいと思います。
遡る事10年程前、私が20台半ばの事です。
知人の誕生日会に行こうとしていた矢先でした。突然頭が割れるように痛くなり、家に帰ろうと思いましたが、乗ってきた自転車にも乗らず、家とは反対方向に歩いていたのです。その時私は既に多量の脳内出血を起こしており、意識混濁状態で朦朧としていました。
次に気が付いた時は翌日のICUでの事です。
後に聞いた話では命が助かる可能性が50%、そして後遺症も無く、五体満足でいられる可能性がその半分の25%だったとの事。
しかし術後の私は軽い左半身の麻痺と視野の欠損が残り、車椅子生活を余儀無くされました。その際は一人でトイレに行く事も許されず、自分では歩けると思っていても、「転ぶから駄目。」と抑制される日々。
若かった私は半年程で退院する事が出来ましたが、とちの実に入居されている皆様はそうは行きません。
そんな中で自身が「どんな声掛けに励まされただろうか?」ではその逆の場合は?と皆さんの境遇や症状は違うとは言え、思い出しながら対応している今日このごろです。
長くなってしまいましたが、最後まで読んで頂き有り難うございました。

10:53 | Posted by jizai

【ケアプラン作成の難しさ】  とちの実 小谷野

2025年01月06日 | とちの実

先日、担当する入居者さんのプラン目標が更新の時期になったのですが、改めてケアプラン作成の難しさを痛感しました。
ケアプランというのは、簡単にいうと入居者さんとその家族の希望や課題に対し、どのようなケアが必要なのか、ケアするに当たりどのようにアプローチしたら良いか、というものになります。その人がその人らしく生活するためにはプラン目標を決めて、詳細項目ごとにプランを定めてケアをしていきます。
このプラン目標を基本的に半年で見直して行くので、その際に入居者さんと面談をするのですが、希望や要望を引き出すのに一苦労します。認知症の方なので質問が堂々巡りになったり、話題が別の方向に行ったりと、なかなか難しいのですが、そこはこちらもプロなので、少ない情報からご本人がどのように思われているのか考察をします。
職員ひとりではなく、職員間で情報を出し合い、チームで考えてプラン目標を立てて実施しているプランが適切かどうか、実施内容から評価して適切なプランを立てて実施し評価する、というサイクルとなります。
認知症の方なので、出来ることが徐々に出来なくなる中、入居者さんが地域の中で自立した生活を送るための支援はどのようなプランが良いのか、どの程度介入、介助が必要なのか、ここの見極めが難しいと感じるところです。
介助が増えると、出来なくなることが一気に進んでしまいますが、介助を減らすと、不安感を与え精神状態が悪くなり、行動心理症状や事故に繋がってしまいます。
プラン目標を立てたが実情に合うかどうか、プラン目標に対しプランを実施出来ていたのか、ご本人の能力や尊厳が損なわれていないかなど。
半年後の入居者さんの姿を想像してプラン目標を立てていければと思います。

11:01 | Posted by jizai

【編集後記】 理事長 志寒

2025年01月06日 | 編集後記

新しい一年が始まりました。年末年始もそれぞれのペースで生活を送る入居者さんを見ていると、歳を重ねることの意味を考えさせられます。春夏秋冬、季節ごとの行事、それぞれの区切りもありながらも、ただ淡々と一日一日を送っていく皆さん。代り映えはしないようだけれども、かけがえのない貴重な日々。改めて、生活の営みの大切さと愛おしさを感じます。
2024年は私の故郷の能登の大震災で始まりました。昨日と同じ今日を過ごす、今日と同じ明日が来る日々。その当たり前が当たり前でなくなる衝撃と不安。日々の生活のありがたさをまた噛みしめる一年でした。
ありふれた大切な一日一日。その日々を共に重ねる入居者さん、職員たち。そして、それを支え続けてくださる地域の皆さん。本年もなにとぞよろしくお願いいたします。

10:58 | Posted by jizai

【今年を少し振り返ってみると】  ぶなの実 野口

2025年01月06日 | ぶなの実::ぶなの実3F

早いもので1年経つのもあっという間な感じがします。ぶなの実も8月にやっと満床になりました。女性 7人、男性1人でしたので、Zさんが入居されて男性が2人になりました。
Zさんは大工をしていた事もあり、力がとてもあります。入居当初は、他入居者の女性を自分の奥さんと思い、下まで送っていくよ、とか温かくして寝ろよ等、優しい言葉をかけていました。言われたTさんは、関西の方で、何言うてんねん、ようわからんと、言い返しています。漫才を見ているような面白さもあります。
Tさんも去年12月の終わりに入居されてもうすぐ1年になります。
ずっと関西弁でお話しされるので、ここ1年の間にスタッフ全員に関西弁がうつるという、面白い事もおきています。関西弁恐るべしですね。
Sさんに今年の顔は誰だったかと言う問いかけに、けいちゃんに決まってるじゃないと。けいちゃんとは、桑田佳祐の事です。世間では大谷だ、金メダリストだと騒ぐ中、Sさんの中ではサザンオールスターズの桑田佳祐。流石ですね。
ぶなの実最年長のNさんは、最近バスに一人で乗って出かけたりしています。巣鴨の商店街に行ったり、この前は西新井大師にスタッフと行き、良い写真を撮ってきました。
行ってきた出来事と写真を見せて、とても楽しそうにお話しされていました。まだまだ元気いっぱいです。
Kさんは、名古屋に帰ってみたいと何度か仰っていて、その言葉が現実になり、先月スタッフと名古屋に1泊2日で行くことが出来、息子さんと会って色々お話ししてきたとおっしゃられていました。名古屋城をバックに良い写真を見せてくれました。
Yさんは、目を開かれるだけで、皆が元気になる力を持っています。
AさんとEさんはとても仲が良く、外に出かける時も、歌を歌ったり、話ししたり、大声で笑ったりとても楽しそうです。
Oさんは皆のお父さん的存在で、他入居者さんも、お父さんお父さんとよく言っています。
笑顔がとっても素敵で、スタッフが帰る時は、必ず手を振って見送ってくれます。
最後に、スタッフにも入居者にも愛着の良かったスタッフが産休に入りました。
また来年新しい年を迎えますが、楽しい入居者様と一緒にスタートしたいと思います。

10:57 | Posted by jizai

【編集後記】  理事長 志寒

2024年12月03日 | 編集後記

ある日、ある事業所に向かっているときの光景です。
買い物にでも行くのでしょうか、その事業所の職員が二人の入居者さんと歩いていました。職員が真ん中、両手で手をつなぎ、三人が並んで、それぞれが笑顔です。高齢の女性が二人、若い女性が一人。歳も違えば、血もつながってそうでもない。はたから見れば、どんな関係がわかりづらい三人組ですが、まるでいつもそうして生活しているか のように、握っている手を揺らしながら歩いています。
ファイル 625-1.jpgもちろん、職員にとっては業務の一環で、気を張って常に入居者さんの安全確保や状態観察を行っているのでしょう。しかし、職員自身も入居者さんも笑顔で、私はそのあまりに自然なふるまいに、しばらく目を奪われていました。
今年の一月に、共生社会の実現を推進するための認知症基本法が施行されました。そこには「新しい認知症観」がうたわれていますが、はたして新しい認知症観とはなんでしょうか?いわく“なにもできなくなるわけではない”、“能力のある存在である”、“希望をもって生きることができる”など、どれも本当は人間にとって当たり前のことです。いま問い直されているのは、認知症や認知症状態にある人ではなく私たちの方です。必要なのは一定以上で定型の認知機能を前提にしない、そんな人間観なのでしょう。
その新しい人間観が育まれたとき。この三人のような不思議な関係性。そんな風景がありふれたものになっていくのではないのでしょうか。

22:42 | Posted by jizai