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【“さようなら”の語源を探る】   つげの実アパート 礒田

2010年11月03日 | つげの実アパート

私はわからないことがあればすぐに人に聞いていたので、「自分で辞書で調べなさい」とよく言われていました。
今は辞書を引っ張り出さなくても、パソコン(インターネット)ですぐに調べることができる有難い時代になりました。
それでもまだ、肝心なことがわからなかったりします。(探し方がわるいのか?)
ある日、つげの実アパートにお住まいのMさんと一緒に歯科受診した際のこと。待っている間に何気なく手に取った雑誌に紹介されていた『日本のこころの教育』(境野勝悟 著)
という本が気になり読んでみることにしました。ある高校の全校生徒及びその父兄の前で著者が講演した内容をまとめたもので、昭和7年生まれのかつて国語の教師であった著者が、まだ若いころに「さようならの意味をしらべなさい」と言われ困ってしまいます。日本人にもかかわらず自国の挨拶の語源がわからない・・・私も気になりパソコンで検索してみましたが、なかなかわかりませんでした。
Mさんは普段からラジオをよく聞いています。私もMさんの影響でラジオ生活になりました。映像がないので、天気予報は集中して聞かないと聞き逃してしまうのです。如何に視覚の情報に頼っていたのか実感しました。
それからはMさんとのラジオ談義がひそかな楽しみだったりします。
先日Mさんが「なんだか眠れなくて深夜の番組を聞いていたんだけど、ラフカディオ・ハーンって知ってる?」と話し始めました。
実は上記の本に、ラフカディオ・ハーンさんの話が登場します。(明治の中期に来日し、日本に帰化して小泉八雲となった人物)私はうれしくなり、本の話をしました。
なぜ日本では、別れ際に「さようなら」と言うのか?なぜ「おとうさん・おかあさん」と呼ぶのか?日本の国旗はなぜ日の丸になったのか?・・・そして日本人とは何か?という問題に発展してゆきます。
私たちの祖先はどのような想いで人生を送ってきたのだろうか・・・と読み進めていく内に、名も知らぬ方々の人生が連綿と受け継がれて現在の自分が在るということを実感し、日本人としての私がとても意味深いものになってゆきました。
昔の日本人は朝日を拝んでいたといいます。そんな話をMさんとしていると「そういえば私のおばあさんは太陽に手を合わせていた」とのこと。
今まで誰もこのようなことを教えてはくれませんでした。Mさんをきっかけに大切なことを知った者として、多くの日本人に知ってもらいたい。どうか興味を持った方はまずご自身で調べてみてください。(諸説ありますが、あまり納得できるものがありません)
もちろん、この本の貸し出しも受け付けますよ(笑)

15:10 | Posted by admin

【終戦記念日に想うこと】   つげの実アパート 礒田

2010年09月03日 | つげの実アパート

この時期になると、テレビなどで戦争についてのニュースや特別番組が放送され 嫌でも意識が向いてしまいます。直接体験した方々から話を聞く機会も年々減ってきています。私がいちばん話を聞いてみたいと思うのは、その当時「非国民」といわれ命を懸けた人々です。現在では「戦争反対」といくら叫んでも生活できます。私は命を懸けて成し遂げる勇気はありませんが、日々平和を願い、そのために出来ることを微力ながら続けて生きたい。「変わった人」といわれながら・・・

15:09 | Posted by admin

【排他的な世の中を問う】   つげの実アパート 礒田

2010年08月03日 | つげの実アパート

「私は無宗教です」こういう人が日本人には多いと思われますが、ふと思うのです。
実は『無宗教』という宗教なんじゃないのか!?
人は幼い頃から『正義は勝つ』といった道徳観の中で育ちます。3歳の娘が大好きなア○パ○マンなども、正義を謳って暴力で解決します。
世界を見渡してみても、“信じている『正しさ』を正義に悪を斬る”という構図が歴史を振り返ってみてもウンザリするほど繰り返されてきています。
いじめ・虐待・殺人・自殺・・・毎日のニュースの中で当たり前に耳にするようになりました。そして『加害者』と呼ばれる人物を責めることだけで何も考えようとしない世の中・・・こういう社会は、他でもない自分たちが作り上げた結果ではないかと思うのです。悪者を責め立てても何も問題は解決はしません。次の罪を作るだけです。突き詰めていくと皆が被害者なのです。
入居者の方々がそういうことを提示してくれます。それぞれの『正しさ』があり、それをお互いに尊重しながら生きていきませんか?と静かに問いかけてくれています。
このままではいけないと誰もが感じていることだと思います。
自分にできることからはじめたい・・・『無宗教』の私も一生懸命考えたいです。

15:09 | Posted by admin

【盛り上がるふたり】   つげの実アパート 礒田

2010年07月03日 | つげの実アパート

ご紹介が遅れましたが、M.Tさんという方がつげの実アパートに2月に入居されました。
もともとつげの実アパートのご近所にお住まいだったということで、「この道を行けばあそこへ行くのよ~」「へぇ~そうなんですか~!」と教えてもらうことの方が多かったりします。
お若い頃からずっと看護師としてご活躍されてこられ、忙しい日々の傍ら囲碁・将棋・マージャン・華道・茶道・クラシック音楽・コーラス・お香に旅行・・・といろんな趣味活動も欠かさない方だったようですので、本当に教えてもらうことばかりです。知らない世界を知るというのがとても楽しく、つい色々と聞いてしまいます。(クラシック音楽につい
ては事務所の須中さんが詳しいので私は蚊帳の外でしたが・・・)
「もう80歳なんだから(体力が衰えるのは)しょうがないわよね~」などと言われるM.Tさん、お話していて大変失礼なのですが年代を感じさせないといいますか、同じ感覚で盛り上がってしまうのです。
そんなM.Tさんと話をしているといつも行き着くのが『この国の未来について』です。
「さっきテレビでね・・・」から始まって医療・介護・教育・政治・・・といろんな話に繋がってゆきます。討論番組にでも参加してもらいたいくらいです(笑)
つい最近は、日曜美術館というテレビ番組の「司会者がステキよね~声がいいわよね~癒されるわよ~」という話で盛り上がったばかりです(笑)
M.Tさん、これからもいろいろと教えてくださいね~!

15:09 | Posted by admin

【もう1年…】   つげの実アパート 礒田

2010年06月03日 | つげの実アパート

ちょうどこの原稿を書いている1ヶ月前(4月17日)の朝、東京では41年ぶりの降雪でうっすら雪景色でした。そのお陰か今年は桜が長持ちしたとか・・・2週間後のゴールデンウィークでは夏のような暑さでした。例年に比べ寒暖の差が激しく、毎日何を着ればいいのかと天気予報をチェックしながらも、まだ出番があるかもしれないと自宅の部屋には厚手のコートがぶら下がったままで(笑)もうすぐ6月がやってきます・・・
昨年の6月4日、とちの実で生活されていたK.Sさんがお亡くなりになりました。
その日はめずらしく日記を書いたのでした。
ありがとう
さっきSさんの訃報を聞きました。
Sさんとは4年前に出会いました。
いままで出会った人の中で、いちばん短期間で私のココロを開いた人だと思います。
トイレもお風呂も一緒に入ったことがあります。
いつも森羅万象、自然に対して感動することを体現している方でした。
いつも創意工夫で自分を表現していました。
いつもつつんでくれました。
いつもあまえさせてくれました。
4年後に他界してしまうとわかっていたら私は接し方が変わっただろうか・・・自問してみる。
何も変わらないし、後悔はない。
Sさん、出会ってくれてありがとう。
ほんとうに ありがとうございます。
ご冥福をお祈り致します。
K.Sさんと出会わなければ、感じなかったことがたくさんあります。
そして、ご家族にとってのK.Sさんと、私にとってのK.Sさんは違うのだろうと思います。
でも同じK.Sさんなのです。
そんな出会いと別れが以前にもありました。今後もあるのでしょう。
人はいろんな形でつながり、そしてはなれていく。波のような生命の営みを感じます。

15:08 | Posted by admin

【恋、してますか?】   つげの実アパート 礒田

2010年05月03日 | つげの実アパート

恋愛経験が多い方が良いとか悪いとかの問題ではないのですが、この仕事をするのには『深く人を愛する』経験はあった方がいいのではないかと思います。
それが、実らなかった。悲しい結末だった。とても大きな成長があった。今現在、世界がバラ色なんです・・・などなど私の遠い記憶を辿ってみますと(笑)・・・
片思いのときは、一目見るだけで幸せな気持ちになれました。次に近づきたいと思い、その人の情報が何でもいいから知りたいと思います。そして相手を目の前にすると恥ずかしいけれど共通の話題を見つけようと努力したり、何が好みなのか人を使って聞き出したり、その情報を元にさりげなく会話を弾ませようとしてみたり・・・
実は、私たちの仕事と共通点があったりします。残念ながら10代の頃のようなトキメキはありませんが(違うドキドキ感はあります) 『相手を深く知る』という点ではまったく同じなのです。
昔、同級生の男子が恋愛マニュアル本を熱心に読んでいるのを見て寒気がしました。マニュアル通りに動くことが返って嫌われるということがまだわからなかった。若いってすばらしい(笑) こんな経験もこの仕事に活かせます!!
そしてチヤホヤされてモテた人より、モテなくて苦労した人の方が発揮できるかもしれません(笑)
(入居者さんが) 夢に出てくることもありますし、休みの日も頭から離れないこともあるでしょう!デートのプランを考えたり、何をプレゼントすれば喜んでくれるのかワクワクしながら考えます。
恋愛経験がない・・・という人もご安心ください。入居者の方々が、それぞれの立場に合った『深く人を愛する』経験を手伝ってくれるのですから。

15:08 | Posted by admin

【本当の優しさ】   つげの実アパート 礒田

2010年04月03日 | つげの実アパート

以前の話です。
ある入居者さんと一緒にコンビニで買い物をしていました。
昼食時の買い物だったと思います。自分の食べたいものを自分の足で店まで行き、自分で選び購入する。この方にとっては、段々と難しくなってきているときでした。
私たちの感覚からすると、とても時間がかかります。すると店員の方が「かわいそうだよ、若い者がやってあげなさいよ」という内容のことを言いました。果たして「かわいそう」なことなのでしょうか?
この内容は、うちの法人で働く上で必ず考えないといけない問題です(笑)
介護保険法に基づくグループホーム(指定認知症対応型共同生活介護)の基本方針では、『要介護者であって認知症状態にあるものについて、共同生活住居において、家庭的な環境と地域住民との交流の下で 入浴、排泄、食事等の介護、その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができることを目指すものでなければならない。』とされています。いわゆる『自立支援』です。
例えば、足を骨折して入院、車椅子を使用した生活になりました。当然、足の筋力が低下します。そして退院後、元の生活へ戻るには筋力をつけるためにリハビリをすることになりますが、ジムのような設備の整った環境でリハビリをするのではなく、それを日常生活の中で工夫して取り入れていくのがグループホームの環境になります。
具体的には、足の筋力低下なら歩く場面を増やす、階段の上り下りをする場面を多く作る・・・といっても「やってください」「はいわかりました」とはいきませんからいろいろとスタッフは工夫するわけです。何かを忘れたフリをして取りに行ってもらう・・・(迫真の演技で仮病を使うと、皆さん心配して手伝ってくれたりします)でも同じ手段はそう通用しません。選手交代で違うスタッフが別の方法を試みます・・・家庭的でゆったりしたようにみえるグループホームの生活の水面下で実は、スタッフの汗と涙の努力があるのです。
階段を上り下りさせられる入居者さんは、そのときにそれをするかしないかで先の生活が変わってしまうのです。
その先を筋力低下のまま車椅子生活で過ごすのか(もう二度と歩けなくなるかもしれません)、自分の足で自立した生活を送れるのか?自分に置き換えるとどうでしょうか?
介護と称して何かを手伝う、代行することは実は簡単なことです。早く物事が進みますし、そのときは感謝されたりします。でもその人の『有する能力を奪う行為』になることを周知していただきたいと思います。
同時に有する能力を維持させる為には、何らかの努力が必要になります。すると、嫌な役回りに徹しないといけない場面も出てくるわけです。スタッフには精神的な強さも求められるのです。
本当の優しさとは何でしょうか・・・いつも考えてしまいます。
自立支援という名目はあるものの、ふと疑問を感じることもあります。それは自分の中での逃げ道になっている場合もあったりしますので、自問自答は繰り返し続きます・・・
いろんな形で支援する側はもちろん、いつも見守ってくださる方々にもあらためて考えるきっかけになれば幸いです。

15:07 | Posted by admin

【真実の言葉】   つげの実アパート 礒田

2010年03月03日 | つげの実アパート

以前の話です。
ある入居者さんと一緒にコンビニで買い物をしていました。昼食時の買い物だったと思います。
自分の食べたいものを自分の足で店まで行き、自分で選び購入する。この方にとっては、段々と難しくなってきているときでした。私たちの感覚からすると、とても時間がかかります。
すると店員の方が「かわいそうだよ、若い者がやってあげなさいよ」という内容のことを言いました。
そのときはゆっくり説明もできず、後日この“どっこいしょ”を持参しましたが、直接その店員の方が読まれたかどうかは分かりません・・・
私たちは、ある場面を切り取って見てみると『強者と弱者』に映るでしょう。
それも事実です。でも逆転することもしばしばです!!
そして同じ人間同士としてぶつかり合い、共に許し励ましあい 笑ったあとにきこえてくる『真実の言葉』というものがあります。この言葉にふれた時、何か次元を超えたものからのメッセージとも私には感じられるのです。
『強者と弱者』あるいは『介護する側とされる側』を超える関係を築く・・・
実は、病みつきになるのですよ(笑) ねぇ、スタッフの皆さん?!

15:07 | Posted by admin

【シンクロニシティ】   つげの実アパート 礒田

2010年02月03日 | つげの実アパート

『シンクロニシティ』とは、スイスの精神科医・心理学者であるカール・グスタフ・ユング(1875年~1961年)がつくった言葉で、直訳すると『共時性原理』、“意味のある偶然の一致”のことです。
噂話をしていたら偶然出会ったとか、夢に出てきた人から電話がかかってくるなど・・・誰でも不思議な偶然を体験されていると思いますが、私は結構この『シンクロ二シティ』が起こります。(思い込み?)
実は、前回のどっこいしょの記事でシンクロがありました。
ひとつは、イソップ物語。昨年のクリスマス 私の母親から娘にプレゼントが送られてきました。それがイソップ物語の絵本で、ちょうど『北風と太陽』からお話が始まります。いつも何かにつけて思い出す話ではありますが、ちょうど読んだばかりで ハッとしました。(『アリとキリギリス』もありました。)
そしてもうひとつは、『奇跡のリンゴ』著者である木村秋則さんの話。私は木村さんの『すべては宇宙の采配』『リンゴが教えてくれたこと』を読み、食物について見直すきっかけになりました。前回のどっこいしょに「身体の感覚」と題して書かせてもらったのも実はこの流れもあります。
私たちは知らない間に“自然”とはかけ離れた生活をしています。毎日食べている物ひとつとっても不自然な物があまりに多いことに驚かされます。便利さ優先でつい私も食べてしまいますが;インスタント食品は明らかに体に悪いイメージがあります。植物である野菜や果物は自然で体に良いイメージがありましたが、実は種から人工的で(F1種と呼ばれている) 化学肥料や農薬が使用されているものがほとんどだということと(有機と謳われていても農薬が使用されているものが多い) 本当に自然で安全な食物が、これだけ物があふれている世の中なのに手に入りにくい現状に悲しくなります。
リンゴの世界でも農薬を使用するのが当たり前。逆に農薬を使用していないリンゴは市場では販売していない。
だから『奇跡』なのですね。(減農薬はあります)
子供のこともあり、いろいろ調べた結果、私は木村さんの『自然栽培』(農薬も肥料も使用しない)に行き着き、自然栽培で育てたものを食べてみたいという思いになりました。残念ながら木村さんのリンゴは入手不可能でしたが;;
現在、青森県の自然栽培を扱っている八百屋さんより月に1~2回取り寄せています。(興味のある方は『とわだ自然栽培研究所』で検索してみてください)
よく入居者の方が「最近の野菜は味が違うわね」と言っていたのを思い出します。
ユングは『集合的無意識』の存在を提唱したことでも有名ですが、“私たちの意識の世界は深いところで繋がっていて連動している”・・・世代を超えた 入居者の方々との生活を共にしていると「そうかもしれない」と実感したことのひとつです。
当たり前に流れていく生活の中、ふと立ち止まって少し意識してみると 違った風景がみえてくるかもしれません。皆さんはシンクロ体験ありますか??

15:07 | Posted by admin

【身体の感覚】   つげの実アパート 礒田

2010年01月03日 | つげの実アパート

普段 入居者の方々と接していると、老化に伴って身体が衰えていくということをあらためて感じます。少し油断すると猛スピードで筋力低下がみられたり、反射の感覚が鈍るということを体現されています。同時にふと思うのですが、私たちの世代が高齢者世代になる頃には、もっと身体的に脆くなっているのではないか・・・と。
一緒に階段を上っていても息切れしているのは私の方だったりします(汗)
身体能力もさることながら、身体の感覚としても行く末を案じます。昔の人より人間の五感を今はあまり使わなくなってきているのではないでしょうか。
ある方が、冷蔵庫の中でしばらく眠らせておいた食品がありました。食べられるのかどうか確認する際、私は賞味期限の表示をチェックします。その方はまず目で見て、臭いを嗅いで、少し味見をしました。どこまで見えているかなどは別として、身体を如何に使っていないかがこの差に象徴されています。
現在では、数字や言葉の情報を頼りに世界が動いています。何かの商品を売るためにこんなに効果がありましたとグラフや数値化してみせる。その人自身の信用として財産はいくらと数値で示す・・・言葉や数値化された情報で問題を解決していくことは単純に時間が短縮されて便利なのかもしれませんが、逆に偏った操作もしやすいですよね。昨今の偽装問題は記憶に新しいところです。
自然界の生物でもある人間本来の感覚が失われていくのはどうなのでしょうか?これもある意味進化と呼ぶべきなのでしょうか?!
でもやはり私は『介護度いくつのだれそれさん』という情報ばかりに気をとられずに、その人を私自身の感覚を使って感じたいと思います。

15:05 | Posted by admin