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【あっという間】 とちの実 西田

2011年05月23日 | とちの実

こんにちは、とちの実の西田です。
去年の今頃、はじめましてとどっこいしょで挨拶をさせていただき、それからもう1年。どっこいしょも3回目。あっという間の1年でした。至らぬことが多いながらも、とちの実という場所にだいぶ馴染んできたように思っています。
去年はみんなで川越に一泊旅行に行きました。初めてのマンツー外出は緊張で胃と心臓が痛くなりました。夜勤は毎回眠いです。献立決めは苦手です。お天気の日のお買い物は幸せです。笑ったり怒ったり、まだまだ一年ですが、色んなことを経験しました。
あたりまえのことですが、入居されている皆さん、スタッフの皆さん、ご近所の皆さん、とちの実に関わるみんなの生活の一部が重なり、そのすべてでとちの実という場所を作っているのだと感じます。そんななかに私という存在も加われているのかな、と思うとちょっと面白くて嬉しく思う最近です。
今年はどんなことがあるのかな。
楽しいことが多いといいな。
大震災があり、胸を痛めることの多いこのごろですが、とちの実のみんなの変わらぬ笑顔に元気をもらっています。荒波を越えて生きてきた人生の先輩方は強いです。
焦らずマイペースにこれからもみんなと日々を過ごしていけたらと思います。
2年目もがんばるぞー。

14:05 | Posted by admin

【東北魂で頑張ろう!】  とちの実 村松

2011年04月23日 | とちの実

私の父の生まれは岩手県宮古市です。今回の東北関東大震災で、父の兄妹たちが震災・津波の被害に遭いました。そして私にとって従兄のお兄ちゃんやお姉ちゃんたちも同じく被害に遭いました。通信手段は寸断されていますが、ネットで安否確認が出来ました。一時は叔母夫婦の安否が1週間以上経っても分からず気が気ではありませんでした。
私自身は4人兄弟で、私が高校生までは家族全員で毎年夏休みには宮古市へ帰っていました。宮古市は海や山、川があり自然豊かな場所です。夜は夏でも満天な星空…幼い時に川で河童を見たことがあります(笑)!?本当です! 特に海は浄土ヶ浜という所が素晴らしく綺麗であります。秋は秋刀魚、冬は新巻鮭…また自然豊かな宮古市に戻れると信じています!
今回の地震でとちの実の入居者さん、スタッフは元気です!今更ながら、当たり前のことが有難いということ、本当に色々なことに感謝感謝です。微力ながら今自分ができること、これから何が大切なのかを考えて活きていこうと。東北魂で頑張ろう!
この災害で犠牲になられた方々に対し、深くお悔やみ申し上げます。

10:39 | Posted by admin

【鋭敏な心】 とちの実 中島

2011年03月23日 | とちの実

こんにちは、とちの実の中島です。今回は最近読んだ本の紹介をしたいと思います。
~認知症の人の歴史を学びませんか 宮崎和加子-著 田辺順一-写真・文~
訪問看護を経て、認知症グループホームの開設や運営に携わってこられた宮崎和加子氏と共に約四十年間の認知症の人の歴史を振り返るという内容です。認知症になったお年寄りが座敷牢のような場所で人生を終えざるをえなかったような時代のこと、特別養護老人ホームでの認知症の人の受け入れ、身体拘束の禁止、認知症グループホームの試み・・・と、認知症の人を取り巻く状況のがどう変わってきたのかを読むことができます。 また、認知症の人だけでなく支援が必要な人々の生活・生きることの支援のあり方を根本から作り上げ、体系的に確立していくという日常生活支援学の提唱など、これからの社会を考えていく上でも大変な示唆に富んだ内容です。後半は写真家の田邊順一氏の"写真が物語る認知症の人の歴史"となっていて、当時のお年寄りの置かれた状況を、写真と文で垣間見ることができます。枕元に立つこともできないほどに隙間なく並んだベッドに寝かされた大勢の人達、ベッドに縛り付けられた人、つなぎ服を着せられ鉄格子の前に立つ人の姿に当時の介護の現場を知らない私は大変な衝撃を受けました。
しかし、これらの状況が必要悪とされていたこの時代でも進歩的な人達はおられたのですね。行動抑制の廃止のための"縛らない実践"や、QOLを高める取り組み等をはじめられ、それが現在までの認知症の人を取り巻く社会の動きへと繋がっているようです。
そこで、もし自分がこの時代のこれらの施設で仕事をしていたらどうしていただろう、と考えます。最初は「気の毒だな。なんとかならないものか・・」と思いながらも日々をくり返し、その感覚を麻痺させていただろうと思うのです。当時現場で働いていた先輩方はきっと色々な想いで頑張っておられたのだろうと思います。
ふと気付けば、介護・自立支援に関わる仕事を始めて五年が過ぎていました。離職率の高いこの世界では割と古い部類か、中堅くらいになっているかもしれません(年数だけは)。 時々、この仕事を続けていく者にとって最も重要なものは何だろうかと考えます。私は、心の鋭敏さを大事にしたいと思うのです。どこかに矛盾が潜んでいるとしたら、それに気付いて声を上げることのできる心の鋭敏さです。進歩的であることに繋がると思います。
では、どうやったら鋭敏でいられるのか。そうありたいと思っていればいいのでしょうか? ではなくて、自分の鈍さと向き合っていくしかないと思うのです。普段から自分のしたことを省みて、習慣のわだちに嵌まらないこと。また、心を鈍らせていくものについてよく考えること。 ちっぽけな私ですが、微微々々力ながらも歴史の歯車を全ての人にとって好ましい方向に、少しでも進める手伝いができればな、と願います。
本の紹介から脱線して随分ありきたりなことを書いてしまったような気もしますが、気持ちを新たにさせてくれた一冊でした。巻末近くの、グループホームで暮らす方々のナチュラルな笑顔にとてもホッとさせられます。皆さまも読まれてみてはいかがでしょうか。

10:38 | Posted by admin

【季節は巡り】 とちの実 星野

2011年02月23日 | とちの実

とちの実で過ごした4年間(これからもですが)。勤務初日に、みなで初詣に行ったのが思い出されます(元旦だったのです)。
あの頃は、みなさんまだまだ健脚でした(寒いなか結構歩いたのです)。
その年の5月に、一緒に初詣に行ったOさんが亡くなった。いつも思い出す、近くの公園に散歩に行った時のこと。
ご家族に手を引かれ、公園を歩いている姿を。時たま、にこっと笑う目の表情を。Oさんがご病気と闘っていた時に、深い 苦悩があったそうだが、きちんと向き合って対処しようとしていたと、後で聞いた。その姿を想像すると、あの笑顔がかけがえのないものに思えてくる。
翌々年にはSさんが亡くなった。独特の世界観をお持ちだったSさんは、一緒にいて本当に心が和んだ。亡くなる直前、わたしはSさんの傍にいた。酸素マスクをし、呼吸するのもやっとの状態だった。耳もとで話しかけると、偶然か目から涙がこぼれた。一生、忘れられない出来事。
Oさん、Sさんの写真が、今でもとちの実のリビングに飾ってある。時たま、その写真を見る。
退去されたKさんから届いた年賀状。お元気そうです。Kさんからは、大事なことをいろいろ教わった。しんのある、まっすぐな方だった。人生の先輩と言うにふさわしい方だった。Kさんのように年を重ねたい、と思った。口癖は、「人生、勉強」だった。
そして、今、とちの実で生活されている方は、女性5名、男性4名。みなさんの個性が集い、響きあい、今のとちの実を作り出しています。
誤嚥性肺炎で入院し、胃ろうになったTさんは、以前のように食べることができない。わたしはそのことを常に自分に置きかえて考えてみたい。それが難しいとしても、その姿勢を持ち続けていたい。
Hさんは一昨年夏の、食べられない、飲めないということから端を発した衰弱から復活した、強靭な生命力をお持ちの方。ずっと変わることのないコミュニケーションの達人でもある。
Sさんはとちの実では一番お若いが、複雑な病気を抱えている。毎日、格闘している。自分の心と、身体と。でも、笑顔を忘れない素敵な方。
Yさんはいつもマイペース。毎日、ゆったりした時間の中にいる。Yさんの本棚に、「私の脇役人生」という本がある。
懐深く、自分も他人も、すべてをありのままに受け入れることが出来る方。そして、とても優しい方。
Hさんは、とちの実で一番長く人生を歩んでこられた方。Hさんの言動には、高い批判精神を感じる。良い意味でのネガティブさに、共感を覚えることが多い。わたしは元来、ネガティブなのだ。ネガティブさは、理想の高いことの現われのように思う。物事を深く理解しようとし、探究してゆこうとする姿勢に、共感。
Kさんのすべてを超越した明るさは、例えば夜勤の日の夜、緊張した心にもたらしてくれるひとすじの救い。それですべては救われる思いがする。その笑顔は、仏様のように眩しい。
Nさんは入居当初から、ほとんど変わらない。6年の歳月を経てなお、心も身体も変わらない。常に高い社会性を持って、共同生活を営んでゆこうという意欲の衰えない方だ。
Iさんが入居して1年半程経った。Iさんと関わっていると、人に歴史あり、という言葉が頭をよぎる。表には出さないが、自信に裏付けられた信念が垣間見える時がある。
Tさんは、男性最年長の93歳。穏やかな物腰や、すっとした居ずまいから、歩んできた道のりを想像するに、いつも冷静でどんとした方だったのではと思う。お若い時に苦労されたらしいが、それらを乗り越えてきた力強さを感じる。その時のTさんは、「頼りになる日本のお父さん(と言っても今の日本のお父さんではなく)」という感じだ。
9名のみなさんと、新年を迎えた。まずは、みなさんの健康を祈りたい。
そして、これからもとちの実で過ごしていく。すでにスタッフとしてはベテラン(?)の部類に入ってしまったわたしですが、経験におもねることなく、日々新たな発見が出来るように、精進して参ります。

10:35 | Posted by admin

【健康への感謝】 とちの実 鈴木

2011年01月23日 | とちの実

こんにちは、とちの実の鈴木です。
今回は11月に1週間入院した時の事を書きたいと思います。
術後2日目体を動かすようにと言われラウンジに行った時、同年代の抗癌治療を受けている女性と知り合いお話をしました。お互いの病気の事など話した後「入院して良かったでしょ」と唐突に言われ「えっ」と戸惑うと、(女性)「入院して自由に動けること健康である事が、とても有難くとても幸せだなと感じる事が出来たでしょ」と言われました。
同室の女性も抗癌治療で入院している方で、私が「退院したら一番何がしたいですか?」
との問いかけに(女性)「おもいっきり家事がしたいわ」(私)「主婦の鏡ですね」(女性)「そんなんじゃないわよ。体調がこんなだから外泊(一時退院)しても家事一つ出来なくて・・日頃当たり前に出ている事が本当に幸せな事なんだと思うようになったからかもね」と言われました。
2人の女性との出会いは、どこか健康である事を軽視していた私にとって、心を強く打たれる会話でした。実体験の中でも術後自由のきかない体や痛み、目の前のおトイレに行く事も大変だったという経験もし、改めて健康である事に感謝し、今出来る事を後回しにする事なく、ひとつひとつ大事に悔いのない生き方をしていけるよう努力したいと思います。
入居者さんの支援でも健康状態に一層配慮し、食事作り・買い物・散歩・旅行など生活全般を、生き生きと楽しんでもらえるようなお手伝いをしていきたいと思います。
日ごとに寒さお増していますが、皆様もお体にはくれぐれも気をつけてお過ごし下さい。
★入院療養中は、入居者さんとそのご家族、スタッフ他、色々な方の優しさに支えられて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。心よりお礼を申し上げます。

10:35 | Posted by admin

【敬老会】 とちの実 仲座

2010年12月23日 | とちの実

皆様お元気でお過ごしでしょうか?とちの実の仲座です。
話しは2ヶ月遡って敬老会の話しになるのですが、始めて企画を担当するという事で先輩スタッフからいろいろアドバイスをもらいながら入居者の皆さんとお寿司を食べ、懐かしい童謡などを歌いながら会を楽しむ事ができました。皆さんはお笑いがお好きだという事で「ドリフの大爆笑」のDVD(3枚組・スペシャル版!!)を、そして映像を見る事が困難なT・Kさんにはアロマのお花をプレゼントしました。これがなかなか良くて、皆さんの余暇のひとときに流すのですが、かなり笑って観てくれています。私自身、ドリフは小学生の時にテレビで観ていてすごく面白かったのですが、思春期を越えた頃にはドリフなんて古いという生意気な意識もあってか、オチが予想出来て全然面白くないと思っていました(好きな方、すいません)。。。
ですが!!この年になってホームで久しぶりにちらっと見るとベタなコントが逆にすごく新鮮で面白くて、世代を問わず笑わせてくれるなんて本当にすごいと感激しました。見た目でのリアクションが単純でわかりやすいので、すぐ笑えるポイントがたくさんあるんですね。
人は笑うと脳が刺激され、身体の活性化や免疫力がアップすると言われているそうです。それ以上に私は心のお薬にもなると思うので、皆さんにはいつでもたくさん心から笑っていてほしいと思いました。思ってみれば私はとちの実ではT・Kさんの笑顔だけまだ拝見した事がありません。ですが、T・Kさんの穏やかな表情の時には笑顔を少し想像する事ができます。きっと素敵な笑顔だったのだろうと思います。
最近、とちの実では残念ながら風邪が流行ってしまい、体調不良の方が何人かいらっしゃいましたが、持ち前の明るさで風邪なんて吹き飛ばしてまた早く9人の元気な笑顔で居間を温かくしてもらえるように私達スタッフも笑顔でいながら気を引き締めていきたいと思います。皆様もどうかお身体には気をつけて下さいね。それでは、また。

10:33 | Posted by admin

【祖母への想い】 とちの実 西田

2010年11月23日 | とちの実

こんにちは、とちの実の西田です。日に日に秋の色が濃くなり、段々と肌寒い日が増えてまいりました。
私事ですが、この時期になると祖母のことを思い出します。
祖母は、少女のような感性を持った、花の好きな穏やかな人でした。当時私は祖父母の介護に追われ、先の見えない毎日に自分の将来を見ることが出来ずにいました。祖母とは、幼い頃からそりが合わず、いさかいの耐えない関係でしたが、それでも祖母のことをとても大切に思っていました。しかし、介護を必要とする祖母を次第に疎ましく思うようになっていき、私は自分を見失っていきました。それでも私は私を頼る祖母から離れる事が出来ず、葛藤の中共に暮らしましたが、最後まで祖母を受け入れる事が出来ませんでした。色々と思うことがたくさんたくさんあったまま、何一つ解消されずに、冬の気配が近づく頃、祖母は他界し、私の祖母との時間は止まりました。
あれから四年の月日が流れ、今、縁あって私は介護の仕事をしています。
巡り合わせと思っています。
人生は面白いです。
入居されている皆様に触れて、止まっていた時間が少しずつ動き出していることを感じています。私の中の祖母と、再び向き合う時がきたのでしょうか。
この仕事を通じて、とちの実で暮らす皆様と、これから、何を感じどんなことを思うのか、楽しみ、学んでいければと思っています。
祖母への想いも、形を変えていく気がしています。

10:33 | Posted by admin

【地域の防災訓練に参加して】 とちの実 村松

2010年10月23日 | とちの実

9月1日と言えば「関東大震災」があった日です。とちの実周辺の町内会では9月4日に「防災訓練」がありました。とちの実からは入居者さん2名と私も参加させていただきました(とは言え入居者さん1名と私は途中退場でしたが)。
まずは班長さんのご自宅前に集合し、非常食が用意してある小学校へ移動です。そして1人1人に乾パンと水を支給されました。その後体育館に移動し、消防署からの防災訓練のビデオ観賞やAEDの実践練習などを行ったあとは最後に炊き出しのカレーが支給されて終了、帰路に着くという行程でした。
想像していたよりも沢山の方々が参加されていて、とちの実では車椅子移動の方も参加されたのですが、皆さまのお力もあり2階にある体育館へ移動することができました。
とちの実の入居者さん、スタッフもこの地域の一員として生活させていただいている実感を得ることが出来ました。本当に地域の皆さまありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
今度は私ごとの話ですが、今年になりとちの実は2件のテレビ取材を受ける機会がありました。その中でよく質問されることがあります。「なぜグループホームが必要なんですか」と聞かれます。
テレビの取材と言えば、前もって教えてくれるものだと思っている私はそれを唐突に聞かれるのです。とちの実の管理者として5年働いていますし、これを書いている私もどうかと思うのですが、なぜ私が特養(大型施設)からグループホームに辿り着いたかは動物的感が一番強いのですが「だってこれが入居者さんにとって今一番いい場所なんだもん」と勝手に思っていました。
とちの実の9名の方々はこの小さなコミュニティの中で毎日生活をされ、献立決めや買い物、食事作り、入居者さん同士の助け合いなどを通じて入居者さんそれぞれの生きる力を発揮させ生活を続けています。それをまた違う機会に使ってスタッフも一緒に楽しんだりもします。それを私たちは沢山知り、支援が必要な時は何気なく手助けをしたり、介助をします。
この仕事をするようになって自分の生活にも反映させていただくことがたくさんあります(例えば人への伝え方や何故今自分がイラッとしたのかなとか振り返ることをするようになりました)。私はよく入居者さんに手のひらで転がされている感じがすることがあります。皆さん私の倍以上の人生を歩んでいますので、それは当り前のことなのです。笑わせたり、笑わせられたり・・・。上記に書いた「防災訓練」の参加もそうですが、こうした当たり前の生活がグループホームでは可能なのです。「当たり前」って??とお思いの方、今まさに自分たちが生活していることだと思います。認知症の状態になったって好きな物だって食べるし、映画だって行くし、寄席にだって行くし、プロレスだって観るベ!と、皆さん楽しまれています。

10:32 | Posted by admin

【ジャガイモ掘り】 とちの実 中島

2010年09月23日 | とちの実

少し前の話になりますが、とちの実ではご近所様のご好意で、畑でのジャガイモ掘りに参加させていただきました。泥んこになりながらも皆さん大変楽しまれました。お芋は美味しく頂きました。
このような貴重な機会を提供していただき大変感謝しています。ありがとうございました。(とちの実の花壇に植えて頂いたキュウリも収穫の時を待っています)
さて話は変わって、全国で数百人もの高齢者の所在不明が発覚し、制度上の問題だけでなくご近所付き合いの希薄化も指摘されています。核家族化が進んだ影響が大きいようです。私自身も一人暮らしを始めて以来、プライベートでの近所付き合いは全くなくなってしまいました。子供の頃はイタズラをしたときには近所のおじさんに叱ってもらい、祖父が倒れたときにもご近所さんが見つけて対応をしてくれました。世話好きのおばさんが、お風呂に入れない独居のおばあさんのために奔走しているのを見ました。
地域の中で育って、地域の中で生活していたのだと今になって思います。このようなご近所さん同士の関係は薄れていってしまうのでしょうか。寂しいですね。
しかし、とちの実の入居者さん方が、ご近所の皆様と挨拶を交わし、立ち話をし、交流を深めていくのを見ていくと心温まる思いです。また、ご近所の皆様の関係性を築いてこられた入居者さん方の能力に驚かされます。
そして日頃からとちの実をご支援頂いている地域の皆様に感謝感謝です。今後とも、防犯パトロールや消防訓練など町内の活動も通して、入居者さん方の地域での生活を支援していきたいと思います。 よろしくお願い致ます。

10:31 | Posted by admin

【有する能力に応じる】 とちの実 星野

2010年08月23日 | とちの実

わたしがとちの実で働きはじめた当初、林田さんから聞かれたことがあります。「あなたは何のためにここに来ているのですか?」と。その時のわたしの答えは、多分、「入居者さんがあたりまえの生活をするのを手伝うため」というようなものだったと思うのですが、それも本で読んだことや、先輩スタッフから聞いたことをそのまま答えにしたような返答で、自分なりの考えや理解があったわけではなかったのです。その後、林田さんから、介護保険法のグループホームの基本方針について調べてみなさいと、助言がありました。すぐに調べました。
それから3年半の月日が経ちました。グループホームというところがどういうところなのか、自分は何のためにここに来ているのか、少しはわかってきたつもりで、日々、仕事をしています。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の基本方針は、「(抄)共同生活住居において、家庭的な環境と地域住民との交流の下で、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにするものでなければならない」とあります。
とちの実では、入居者さんのことを「よく知る」ということを普段から大切にしています。例えば、好きなものは何か、過去には何だったのか。歯の磨き方は?急いでいる時、どういう歩き方になるのか?どんな風に話しかけると、笑顔になるのか?などなど、体の動かし方から、日常的に行っている動作の数々、気質や気持ちのありようなど、細かいところまで知っていくこと。もちろん、人間は常に変わっていくので、知ることは常に更新されます。いわば、知り続けること。なぜ知り続けることを大切にしているかといえば、ひとつには、入居者さんが大事にしている“自分のやり方”、おおげさに言えば“自分の生活”を、いつまでも、たとえご本人が忘れてしまったその後でも、続けられるようにするためです。
もうひとつには、できることとできないことを把握していき、“有する能力に応じ”た生活を営めるようにしていくためです。人間には誰しも、その人なりの力があります。発揮できる力を、眠らせておくのはもったいない。できること、できそうなことはやってもらう。その積み重ねが、自信や自己表現に繋がっていくとも思います。時には、できないことに直面することもあるかもしれません。そんな時には、生活に対する諦めや無力感、自信喪失に繋がらないような関わり方をしていきます。
たとえば、笑いに変えて安心感を感じてもらったり、自分を引き合いに出して共感してみたり。もちろん、できる、できないというものさしが、生活のすべてではないですし、その時のやる気や気持ちも大事なので、あくまでその人の“生活の営み”というものに主眼を置いています。
入居者さんが自分の生活を営んでいく、ということ、自分の人生を歩んでいく、ということを、介護保険法の基本方針という枠だけで語れないのは承知の上ですが、それでも、「有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるようにする」ということを、とちの実で実践でき、また、実践できる環境にあるということを、介護を職業にする者にとって、大変嬉しく、また誇りに思います。そして、いつも力を発揮して下さる入居者さんたちに、感謝、感謝です。

10:30 | Posted by admin