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編集後記 林田

2017年06月30日 | 編集後記

昨年「鼻めがねと言う暴力」と言う本を出させていただいて、一年ほど経ちました。
大変ありがたいことに、あちらこちらに講演で呼んでいただきました。読んでいただいた方はお判りでしょうが、虐待に対して書いた本です。講演に呼んでいただくのは大変ありがたいのですが、それだけ虐待が起きていると考えることもできます。全国でどのくらいの虐待が起きているのだろうと考えると、と不安を感じることもあります。
しかし、これまでのことでわかってきていることもあります。
虐待を無くすには、「虐待を絶対に起こさない。」と言う強い意思と意志を持ち、地道に継続して取り組むしかないということです。
私たちの仕事の素晴らしさ、つまり、認知症状態にある人の素晴らしさを理解したいのなら、虐待をなくすための不断の努力をしなければならないと改めて思います。
(林田)

17:18 | Posted by jizai

【優しいスタッフ】  つげの実 蔵田

2017年06月30日 | つげの実

今回は、あるスタッフと入居者さんたちとの関わりということのお話をします。
そのスタッフは、3年目ほどの非常勤の方なのですが、
とにかく優しいということです。入社当初もそうだったのですが、ずっとその優しさは変わらず続いております。ぼくは、そのスタッフに入社して間もないころに、こんなことを言った事がありました。
「この仕事は、優しいことは大事なこと、必要なことだとは思うが、優しすぎるとときには入居者さんたちの力を奪ってしまい、いつまでも元気でいられなくなってしまうこともある。」と。
約3年が経ち、この言葉は考えさせられる結果となりました。
そのスタッフが台所で洗い物をしていると、1人の入居者さんがそれを見ていて近くに来て「手伝おっか」「手伝うよ」と言って一緒に台所で行っている姿を幾度となく、見ておりました。
もう一人の入居者さんは、そのスタッフが出勤してくると、「○○さんだ、○○さんだ」と言ってうれしそうに喜ばれます。退勤する時には「また来て下さいね、また来て下さいね」とお見送りをされます。
ぼくらは、ついつい多くの言葉をかけ過ぎてしまったり、自分のことは自分で、自分で考えて、と安易に言ってしまうことがありますが、本当に親切に丁寧に関係性を築いていくとそれはかならず相手や周りの人たちには伝わるものということをあらためて気付かされました。
その気付きは、グループホームで仕事をして入居者さんたちと一緒に生活をしているからではないかと感じております。
これからも大切なことをより多く感じられるようになれればと思っております。

17:13 | Posted by jizai

【言葉から伝わる気持ち】  とちの実 渡邉

2017年06月30日 | とちの実

先日、お誕生日をむかえられ、94歳になられたA様と電車を利用して、美術館へご一緒しました。
A様は、日頃から気温の変化に敏感で、ちょっとでも風がふいて、寒さを感じたら「お~寒い」と極寒にさらされている様な声で身体を縮こませる方です。
この日は、やや風も吹いていたので、万全な防寒対策をして出掛けました。
また、ほんのわずかな刺激でも 顔をしかめて「いたっ 痛たいよ」と口癖のようにもうされるので、車椅子をご利用さるA様が移動中の、段差や坂道で嫌な気持ちにならないように、背後から耳元へ声かけしてまいりました。

しかし、心配していたワードは全く発言されなかったのです。冷たい雨が降った前日と一変した晴天となり、久々の遠出が、お気持ちを晴れ晴れとさせたでしょうか。

常に穏やかでいらしゃり、こちらからお話はかけをしなくても、「おお、いい天気だ」「暖かいね」と何度もおっしゃられ、にこやかな表情をされました。また、観覧中も作品の前で「おぉ~ 」「立派だねぇ」と言って、目を大きくしたり細めたりしてご覧になりました。

それから、 隣接した場所にあるパノラマの景色が望めるレストランで昼休憩をしました。
こちらでは座席に移動し、注文した料理を待っている間に、ゆっくりと左右を見渡し「おお、雄大な景色だね」「もう、桜が咲くのか 」などとおっしやいました。冒頭にもお話はしたようにA様はとても表現力がある発言をされるので、これらの言葉の発音も感情豊かでした。

帰り道、後少しでとちの実に、たどり着こうとした時、A様から「疲れてないか?ご苦労だったな」と声をかけていただきました。車椅子を押していたのでその時の表情は拝見できませんでしたが、そのお声の様子から今日の出来事を満喫していただけたのではと感じ取れました。本当にご一緒して良かった。喜ばしい気持ちになりました。

17:11 | Posted by jizai

【Fさん笑顔の焼きそば】  ぶなの実1F 松林

2017年06月30日 | ぶなの実::ぶなの実1F

Fさんは普段、自分からお話をされることはあまりないのですが、ちょっぴり毒舌でハッキリと物を仰る方です。
髪の毛が伸び髪の根元が白く目立ってきているときに一緒に鏡を見て「そろそろ染めて髪を切ったほうがよさそうだね。」と私が言うと「何ってんだよ。こんなババァきれいにしたって誰も見ちゃいないって。」と仰るので「ババァだから綺麗にしたほうが良いんじゃない?」と返すと「そうか、そうだな。ハハハハ。」と大きな声で笑う…年に数回ある美容院に行く前のやり取りです。
そのFさんは美味しいものが大好き。ある時、「ごちそうが食べられるとしたら何が食べたい?」と聞くと「ビフテキ」と一言。にっこり笑うのですが表情は硬いままです。
ある日、焼きそばを作ることになり席を外していたFさんにそのことを伝えると「焼きそばなの?」と仰り、美容院のやり取りやビフテキの時には見られなかった笑顔を見せられました。するとFさんが「あの屋台で売っている焼きそばが旨いんだよなぁ~。よく子供の頃はあんな所で売っているものなんか食べちゃダメだ。って言われたけど、内緒で買ってさ。またあの、新聞紙に包まれているのがたまらないんだよなぁ。」ととても穏やかな表情で感情をたくさん込めてお話をされます。その後、数回皆さんと焼きそばを作ることがあったのですが、同じ話をいつも嬉しそうにしてくださいます。
歩くことが億劫なFさんですが、今度お祭りに出かけて焼きそばを新聞紙に包んで持ち帰ってみたいなと思いました。そのときはどんな笑顔を見せてくださるか楽しみです。

17:08 | Posted by jizai

【はじめまして】  ぶなの実3F 前倉

2017年06月30日 | ぶなの実::ぶなの実3F

はじめまして、前倉と申します。ぶなの実Aユニットで数多くの生活に触れることができ、その多さ故に悩みもてんこ盛りでした。忙しい諸先輩方へのしつこい相談(この場をお借りしてお詫び申し上げます)、介護に関わる力学や心理学、体験などの本を読み漁り、実践しては失敗を重ね、脳細胞と身体をフル空回りさせている間に1月以上経ちました。
中でも当初から増え続ける悩みの1つに「ご意思」があります。食後間もなく質問される次の献立…等に代表される間の悪いご意思の確認は誰のためのものなのか。少しずつですが、積み重ねられた嗜好や生活背景、現在の体調や感じ方に注目する高い関心を持ち続ける力と、心のこもったささやかなはからいを身につけていくことで、誘導や強制の入らない心地よいご意思に添うことに繋がるということを、諸先輩方の対応を見て感じはじめました。ここ1月のたった一つの成果です。長い闘いになりそうですが楽しみです。よろしくお願いいたします。

17:02 | Posted by jizai