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編集後記  林田

2017年10月31日 | 編集後記

今年の大河ドラマは、西郷隆盛ですね。昨年の大河ドラマは観なかったのですが、今年は見てみようかな、と思っています。
それは、西郷隆盛の名言集にこのようなものを見つけたからです。
「人間がその知恵を働かせるということは、国家や社会のためである。だがそこには人間としての「道」がなければならない。電信を設け、鉄道を敷き、蒸気仕掛けの機械を造る。こういうことは、たしかに耳目を驚かせる。しかし、なぜ電信や鉄道がなくてはならないのか、といった必要の根本を見極めておかなければ、いたずらに開発のための開発に追い込まわされることになる。まして、みだりに外国の盛大を羨んで、利害損得を論じ、家屋の構造から玩具にいたるまで、いちいち外国の真似をして、贅沢の風潮を生じさせ、財産を浪費すれば、国力は疲弊してしまう。それのみならず、人の心も軽薄に流れ、結局は日本そのものが滅んでしまうだろう。」
すでに、日本は手遅れのような気もしたのですが、気を取り直して、これからの世代の方々に少しでも軽薄ではない日本を伝えたいと思いました。

19:07 | Posted by jizai

編集後記

2017年09月30日 | 編集後記

脳(海馬)で記憶することがうまくいかなくなること。これが、アルツハイマー型認知症を中心とする、認知症の症状の特徴です。
うちの入居者さんたちの多くは、この症状が出ます。以前、某大学病院の先生と話したことがあったのですが、その先生は、実行機能障害(段取りを取るような機能です)がその主な症状と言われました。私は、実行機能障害が起きるのは記憶障害が原因だと考えていますので、いまいち議論が噛みあいませんでした。実際どのように考えるか結論は出ていませんが、記憶ができる。記憶をし続ける。と言うことは、その方の人生そのものになりますし、自分とは何を考える情報源になります。アイデンティティと直結するわけです。
そのような意味では、記憶とはとても重要であり、記憶が無くなることに恐怖を感じることは無理のないことです。
そして、記憶は苦しみの原因にもなります。忘れられるならどれだけ楽になるのだろうかと考えることも、私は年々増えているように思います。
忘れることを意識的に行うことは、かなり難しいことです。覚えることは意識的にできることも、ままあるにもかかわらず、忘れることは思うに任せません。そのことが精神をむしばむような気がすることがあります。
しかし、記憶にだけそのこと(人生や生きていること)の価値を付託するのは、記憶に申し訳がないように思うのです。
記憶することは、本来自分の豊かにし周りの人たちと幸せに暮らせるために行うことだと思うのです。
ですので、記憶がとどまらない認知症状態にある方でも、自分が豊かであり、周りの人たちと幸せを分かち合えるなら、記憶の有無と幸不幸がつながらないということも可能なのではないかと考えています。
そして、それらのことを気づかせてくれるのも、それらのことに確信を持たせてもらえるのも、これまで、そして今、一緒に生活をしてもらっている入居者さんたちの存在だと考えます。
自分の力ではどうにもならないことでも、目の前にいてくれる入居者さんたちが、真摯に人生を向き合っている姿に救われることばかりです。本当に、ありがとうございます。(林田)

10:52 | Posted by jizai

編集後記  林田

2017年08月31日 | 編集後記

私は、子供のころから歴史が好きで、今もよく読む本は歴史ものが多いです。
最初に好きになったのは、中国の歴史で、興味を持っている方も多いと思いますが、三国志から興味を持ちました。それから、中国のほかの時代の歴史、そして日本の歴史へと興味を持ち続けています。
歴史小説ですから、作者の方の考え方なども紛れ込みますし、歴史の資料を読んでいても、それを作った人の立場が反映されていて、「正しい」と思い込むと、大きな間違いを起こします。
よく言われるように、「歴史は勝者が作ったもの。」などともいわれるほどです。
ですから、できるだけ様々な角度からその時代を検証した資料や小説を読むと、考え方や価値観の違いから、人間と言うものが浮き彫りになります。
その、時代を超えた人間臭さみたいなものに触れた時に、歴史が過去の情報の集積物から、現在のこの私の中にある葛藤や苦しみ、充実感などとつながり、生き生きと頭の中で歴史上の人物が動き出すような気がするのです。
日々を過ごしていると、自分の生き様が歴史の一部であるという実感などはさらさらないです。しかし、このあまたの今を生きる人たちは紛れもなく、歴史を作っていっていると考えます。
そう考えると、日々生きている意義を実感できるように思います。
いま、ヒストリエという漫画を読んでいます。珍しくアレキサンダー大王、アケメネス朝ペルシャの時代の話です。
日本では、あんまり漫画にはなっていないと思います。
漫画ですから、それこそ脚色も多いと思いますが、文化や価値観が日本や中国とまた異なりますので、大変興味深いです。
気になった方は、ぜひ読んでみてください。

10:30 | Posted by jizai

編集後記 林田

2017年07月31日 | 編集後記

この前、古い友人と10年ぶりに再会しました。
彼は、年も同じで以前金融関係の仕事をしていたことなどもあって、縁のある存在でした。
しかも、グループホーム草創期の議論を交わした仲なので、とても貴重な思い出があります。
久しぶりの再会となったのは、彼が横浜から宮崎に引っ越したことが大きかったのです。しかし、久しぶりに会うとお互い年を取ったものの、あの時の情熱を共有することができました。
20年以上のキャリアのある私たちの年代は少数派です。これから、大きな具切りを迎える2025年に向けて、彼とまた力を合わせて頑張りたいと思います。

10:24 | Posted by jizai

編集後記 林田

2017年06月30日 | 編集後記

昨年「鼻めがねと言う暴力」と言う本を出させていただいて、一年ほど経ちました。
大変ありがたいことに、あちらこちらに講演で呼んでいただきました。読んでいただいた方はお判りでしょうが、虐待に対して書いた本です。講演に呼んでいただくのは大変ありがたいのですが、それだけ虐待が起きていると考えることもできます。全国でどのくらいの虐待が起きているのだろうと考えると、と不安を感じることもあります。
しかし、これまでのことでわかってきていることもあります。
虐待を無くすには、「虐待を絶対に起こさない。」と言う強い意思と意志を持ち、地道に継続して取り組むしかないということです。
私たちの仕事の素晴らしさ、つまり、認知症状態にある人の素晴らしさを理解したいのなら、虐待をなくすための不断の努力をしなければならないと改めて思います。
(林田)

17:18 | Posted by jizai

編集後記 林田

2017年05月31日 | 編集後記

気が付くと、建物のあちらこちらにガタが来ましています。
最近だけでも、ユニットバスの交換や床の張り替え、エアコンの交換などです。グループホームと言うと、ケアをしているイメージが大きいですが、生活の場なので建物に関することもいろいろなことが起きます。
特養で働いていた時は、清掃業者が入っていて事務所に営繕担当がいて。なんて感じだったのですが、グループホームはすべて自分たちで対応します。(ユニットバスは業者さんに頼みますが、業者さんとのやり取りは管理者がしました)
このようなことは、グループホームの仕事に書かれているわけではないです。いっつも誰かがやってくれたら。と思うのですが。(林田)

17:58 | Posted by jizai

編集後記 林田

2017年04月30日 | 編集後記

皆さんの手にこのどっこいしょが届くころは、梅雨も明けているでしょうか。
今年度のグループホーム団体連合会における全国フォーラムが7月30日東京で行われます。場所は中野のコングレスクエア中野です。
今話題にしなければならない人手不足のことについてや、地域の中におけるグループホームの在り方などについてみんなでディスカッションしたいと思います。
お忙しいでしょうし、また、それこそ人手不足の中ではありますが、ご出席していただければと存じます。
詳しくは、全国グループホーム連合会のホームページ きみさんちのホームページをご覧ください。(林田)
全国グループホーム団体連合会のホームページはこちら

08:59 | Posted by jizai

編集後記

2017年03月31日 | 編集後記

 この仕事を通していろんな方と出会うことができまして、本当にありがたいです。
 そして、これまではグループホームの方達が多かったのですが、最近はディサービスやナーシングホームを運営している仲間もできました。
 そんな時、彼らからグループホームをやりたいんですよ。と言われました。
なぜ運営したいのかと聞いてみますと、グループホームの人たちは仲が良いですよね。と返されました。
 彼らの事業の場合、横のつながりが多少希薄なのかもしれないです。
 仲間が増えることは当然うれしです。ぜひにと思います。
 それと同時に、私たちは、ただの事業者の集まりではなく運動体で、そこに魅力があるのでは。と考えました。
 それは、差別される環境に遅込められてきた認知症状態にある方達の、解放運動です。
 その目的が共有されているので、仲間のつながりが強いのだと思います。
そして、そのために認知症状態にある方々への支援技術を研鑽 してきた自負もあるのだと思います。
 そのような仲間たちですが、疲弊度は大変高い状態です。それは、直接ケアする職員だけでなく、経営者層にも無力感と疲弊感漂っています。現に、私の友達の間では、運営を止める(身売りする)などの話が出ています。
 これまで、頑張ってきた認知症状態にある方々の解放運動の担い手がいなくなれば、確実にまた閉じ込めて社会から隔離する世の中に戻ります。
 そのようにならないよう、皆さんと一緒に政治家や行政、地域の方々に訴えていかなければと考えています。(林田)

16:25 | Posted by jizai

編集後記

2017年02月28日 | 編集後記

先日、時間があったので録画していたドラマを観ました。そのドラマは、トヨタ自動車をモデルとしたもので、自動車製造に心血を注いだ会社の社長と従業員たちの戦いの話でした。
いろいろ共感できるところが多かったのですが、大きく二つの点でとても共感できました。
一つは、自動車を作り上げていくときの技術力です。日本はよく発想はできないが地道な努力と改善を重ねて、気が付くと世界最高の工業製品を作る。と言われます。
自動車も本当に気が遠くなるような努力で作り上げて北のだということがわかりました。実は、これは、農作物でも家電製品でも同じだと思います。そして、私たちの認知症状態にある方々の生活を支える技術も同様だと思っています。
毎日毎日、地道な努力と新たな発見を繰り返して、入居者さんにグループホームでの生活を続けていただけるかを追及する日々なのです。
次は、規制によって事業自体の継続が困難になっていくシーンでした。
国の規制で乗用車ではなくトラックを作ることを強要されたり、自動車を作ること自体が許可制となったり、今の時代より強烈で暴力的な規制がなされています。
ただ、現在でも、私たちの事業に対し「規制」と言うのは脈々と続いており、介護保険と同時に様々な規制が始まりました。介護保険前から事業をしていた私としては息苦しいこと、この上ありませんし、ケアマネージャーの必須配置や利用者さんを原則区内の方しか受け入れられなくなったことなど、事業運営に大きく影響をすることもたくさんありました。
私たちは、国民の税金と保険料で事業運営をしていますので、規制は止むを得ない部分もありますが、規制が事業の大きな部分にかけられるのなら、その事業は実態と合ったものにしていかなければならないと思います。
その最たるものが介護報酬の設計です。最低賃金が上がるのならば、介護報酬などもそれに合わせてスライドするような制度設計や、都市部と地方の最低賃金の差を介護報酬にも取り入れていくことです。
このままいくと、最低賃金を割ってしまうような介護報酬しか介護職はもらえなくなると思います。
日々、地道に技術を磨き入居者さんの生活や命を守ることをしている職員に対し、適正な介護報酬が出るように、動いていただくことを強く望みます。ご家族や地域の方々にどうぞご理解をいただきたいと思います。(林田)

09:11 | Posted by jizai

編集後記

2017年01月31日 | 編集後記

「鼻めがねという暴力」と言う本を書かせていただき、そのことで講師するときにいつも悩むのが職場でのチーム作りの在り方です。虐待を防ぐのにチーム力は欠かせません。
それを実現させるのは大変な労力と時間を要します。特に、管理者の担うものはとても大きなものになります。
チームは、目的を共有し理解していること、理念を理解していることが大前提になります。
認知症対応型共同生活介護では、「有する能力に応じた自立」を支援することが大きな目的の一つです。また、その目的がをただただ追い求めるのではなく、その支援の在り方が間違っていないか確認するために戻るところが人権の尊重や尊厳の保持などの理念となります。
これらのことを言葉として理解するだけではなく、日々の支援を目的や理念に沿った形でチームで実践することが、私たちに求められる力量だと考えます。(林田)

09:16 | Posted by jizai