毎年のことですが、「GWは何処かいきますか?」「休みはいつから何日間?」などと、世の中は賑わっています。
実はわたくし、何故かこの時期、あまり良いことがないのです。
今年も残念なことですが、入居者A様と永遠のお別れをすることになってしまいました。
A様は、かなりのご高齢ですが、ユーモアもあるお元気な方でした。しかし昨年の夏、脳梗塞を患われ入院されました。そして数ヶ月後、とちの実に帰って来られましたが、車椅子の生活を 余儀なくされ、暮らしは以前とは一変されました。
そして4月の中旬から水分がとれなくなり、点滴の処置を受けることになりました。
ご家族さまは、お身体の状態について医師の話を聞かれたうえで、「とちの実」で最後まで過ごすとご判断されました。ご本人様も入院をすると家族に安易に会えなくなるということが大きく、「ここにいる」とおっしゃられました。
ある日の夜勤でのことです。体動が多く、ベッド柵に手を打ち付けそうになっているので、手を握ると私の手を握り返されたのです。そして、「あなたと一緒にいきたい、寂しいから」とおっしゃれました。
何か察しているのかと切ない気持ちになりました。
私は何と返答してよいのかわからないまま、手をにぎっていました。
別の日に、童謡をCDから耳元でながし、側で口ずさむと、一緒に歌をうたってくれました。その次の日も一緒に歌いたいと、同じように寄り添いましたが、少し顔を頷かせる様子だけでした。ゆっくり、ゆっくりと変化していくなか、約半月ほど、職員は入れ替わりですが、皆、誠心誠意をこめて支援していました。
ご家族様も、時間が許す限り面会をつづけておられました、きっと大事な会話が出来たのではないでしょうか?
そして、A様は、ご家族様の見守りの中で旅立たれたのです。
最期は「その人らしく」が理想ですが、運命は分かりません。A様の様にご家族に看取られることはごくわずかかもしれません。
だれもいつとは全く予測でききない分、どの立場でも素直に出来る限りの思いを伝えられたらいいなと思いました。