去年の2月にとちの実に入所され、今年の3月に入院先の病院にてお亡くなりになられたI・Tさん、本当にいろんなことを教えてくださいました。
もちろん、きっともともとのI・Tさんはとても素敵で優しい方だったと思います。
この認知症という病にかかってしまったI・Tさんは時折人格が変わってしまい、落ち着かなくなってくると、思い通りにいかなければ、手を上げてしまうという症状が出てしまうことがあったので、私はとちの実に入職して始めて、支援にあたるのが、とても怖いと思ってしまった場面がいくつかありました。
そんな中で、周りの入居者様達と共同生活を続けていくのは難しいのでは・・・と思うことも正直ありましたし、でもせっかくの縁でとちの実に入所されたのだから、どうにかここでともに生活をしていくことは出来ないのか・・・しかしもっとも大切なのは、ご本人が望む幸せなのだけど、この現状で氏が望む幸せな生活はどのようなものだろうと、当時は複雑な想いを持ちながら毎日を送っていました。
月1の会議で全スタッフと林田代表とで話し合い、このままの状態では共同生活はどちらにしてもきびしい。入院先で向精神薬を飲んで少し落ち着いた状態を保てるようになったら、とちの実に戻ってきてもらい、ともに生活を支援していきましょうという苦渋の判断をしました。
I・Tさん、一緒にお散歩に行ったとき、「寒くないかい?」と何度も私に聞いてくれて、手をつないで温めてくれましたね。
私達によく、「ごめんよ」と何度も言ってましたよね。私達の方こそお役に立てずにごめんなさい。時折見せてくださる素敵な笑顔や優しさを知っているからこそ、とてもやるせない気持ちになりました。一番辛かったのはI・Tさんの方ですよね。好きな人達から煙たく思われてしまうこんな症状きっといやだったと思います。本当に、本当にお疲れ様でした。やっと解放されて今は大好きな甘いものやおせんべい好きなだけ食べてくださいね。また違う世界で会えたら暖かい日に一緒に楽しくお散歩しましょう!