【その瞬間を大切に】 ぶなの実1F 吉田
お久しぶりです、ぶなの実の吉田です。
ぶなの実では、一年に一回マンツーマンでの外出を行っています。外出自体は皆さんと同じように日常的に行っているのですが、この一回は誕生日に絡めてお祝いする主旨での外出です。
今日は私の担当のAさんと誕生日に外出した時のことについて書いてみたいと思います。
Aさん自体の誕生日は一月のお正月時期なのですが、一日外出するには寒さが厳しいので、去年は秋、今年は春に行いました。行った先はサンシャイン、水族館とプラネタリウムに行きました。年頃の男女であれば、間違いなくデートの対象となるような場所ですね。私とAさんは50歳ぐらい離れているのですが、まぁデートみたいな感覚です。
まず入ったのが水族館、たつのおとしごや大きなエイにビックリしていたり、カラフルな南国の魚達を見て目をキラキラさせていたり、私がそれを「美味しそうですね」などと言うと「食べちゃうの??」とゲラゲラ笑いながら反応したり。見た目はおばあちゃんですが、雰囲気はデートそのものでした。
お昼はアシカが見える館内のお店で食べたのですが、何度説明しても、良く懐いた犬が泳いでいると言っていて、私の方がゲラゲラ笑ってしまいました。途中で子供の集団と出会い、手招きしたり、手を振ったり、お母さん達に「かわいいねぇ」と話しかけたり、よく見かけるおばあちゃん達と子供の光景そのもので、なんかほっとしたりもしました。
入居者の方のほとんどがそうなんですが、子供が皆さん好きみたいです。
子は鎹という言葉がありますが、本当にそうだなと思います。
午後の時間は買い物タイムです、なにかプレゼントになる物はないかと一緒に探していたのですが、エイのぬいぐるみを見たAさんが、手をひらひらさせて「おっきかったねぇ」とえらく気に入っていたので、それを一つ、更にエイのはがき、パンフレットなどをプレゼントすると、とにかくぬいぐるみを気に入ったようでして、座布団にいいねなどと笑って話していました。
そうこうしている間にプラネタリウムの時間となりまして、開始時間まで入場待ちをしていたのですが、流石にカップル以外のお客さんは皆無でして、さっきの光景とは一転して不思議な光景でもありました。
結局後半はAさんは寝てしまいましたが、途中まで小さな声で話しかけて来たり、指差していたり、それなりに楽しんではくれていたようです。
不思議な光景ではありましたが、皆さんもおばあちゃんと行ってみてはどうでしょうか?
私の中では、水族館よりもお勧めです。
こうしてAさんとのマンツーマン外出が終わったわけですが、しばらくするとすっかり忘れていまして、プレゼントしたぬいぐるみなども繰り返し誰かにあげたりと、男女のデートだったら破局の原因になりそうな事ばかりなのですが、そこは認知症を患っているおばあちゃんですし、ここはグループホームです。
Aさんは比較的記憶が続く方なのですが、中には帰宅中に忘れてしまう方もいます。
では行かなかった方が良かったでしょうか?または、行っても行かなくても同じだったでしょうか?
少なくともその瞬間はAさんは笑顔でしたし、楽しんでいるように見えました。
私はそれでいいと思ってます。
これはマンツーマン外出に限ったことではなく、日々の生活でも同じです。認知症だとかも関係ありません。その瞬間、瞬間を大切に過ごしていく。
それを記憶し、後の生活に活かせればもっとよいですが、そうでなく
ても、その瞬間確実に充実している。そういう積み重ねが、豊かな生活を産み、尊厳を保つことに繋がるのではないかと考えています。
そんなことを改めて認識させてくれた、Aさんとの外出でした。