グループホームの平均入居期間は3年なのだそうです(日本認知症グループホーム協会調べ)。とちの実に今現在の入居者さんの入居年数は計算したところ5.4年くらいでした。長くご利用を頂けてとてもありがたいです。
平均が5.4年なのでそれよりも長い人もいますし、ご入居半年くらいの人もいます。そしてなんと(?)、とちの実には 10年以上の入居者さんがお二人いらっしゃいます。おひと方のAさんは年が明けるとご入居丸12年です。ご入居時にはなかなか環境に馴染めませんでした。ハンガーストライキみたいなことをなさったり、俺はアパートを借りて出ていくと不動産屋(の前)まで行かれたりしていました。しかし、今ではすっかりとちの実の生活に馴染まれて、洗濯、掃除、食器洗い、お買い物と能力を発揮し、活き活きと生活をされています。最近は毎日のように私と、「Aさん、洗い物がたくさん溜まってますねぇ。誰かやってくれないですかねぇ?」『どうぞどうぞ、ご自由に!』「じゃあお言葉に甘えてAさんにお願いしようかなぁ」『えー!?』という小芝居みたいなやり取りをして笑い合っています。
もうお一人の十年選手のBさんも、来年でご入居から丸12年になります。ご入居時はまだ50代でした。ご入居前の面談で服用中のお薬を伺った際に「認知症の薬を飲んでいます」と仰っていたというのが印象に残っています。Bさんは元々医療関係のお仕事をなさっていたそうです。なのでご病気に関しての知識はお持ちでしょうから、ご自分のこれからのことに人一倍不安を感じておられたのではないかなと思います。遠慮しがちなお人柄のため、他の入居者さんに対して萎縮なさることがないようにと、皆気をつけて支援をしてきました。私が一緒に食材のお買い物に行ったとき、「お菓子も買っていきませんか?」と提案すると『やったぁ!』と言って喜ばれていたのが印象に残っています。とてもキュートな人だなと思いました。今現在はご病気が進行したことやお怪我の影響で、自力で動いたり意思疎通をすることは難しいご状態ですが、昔からお好きだったというハーゲンダッツアイスや音楽、サザン、ユーミン、竹内まりやなどは変わらず楽しまれています。
そして今年の11月で丸10年になるCさんもいらっしゃいますので、また別の機会にエピソードをご紹介させて下さい。こんな感じでお一人お一人の入居者さんを長年に渡って支援させてもらえているのはとても幸せなことだと思っています。