コロナが少し落ち着いてきたと思った矢先に6月が己の仕事内容を忘れた働きをしていた2022年。
エアコン代の節約などと言っている場合ではなく、文明の利器をフル活用せねばこの夏を乗り切れるかも怪しいこの頃。
お年寄りが多いグループホームといえど、その文明の利器を活用する方ももちろんいらっしゃいます。主に携帯電話です。
ご家族やご友人とお話したいという想いから、よく携帯電話を触られている入居者Aさんがいます。Aさんが職員に操作方法を尋ねながら操作している姿を見て、ふと思った事を口走ってしまう。
「携帯の操作って難しいでしょう?続けられて凄いですね。最近の機械は僕でもよくわからない物も多くなってきましたよ」
「私もよくわかってないし、全然覚えられてないです。でも娘や友達とできるだけお話したいから」
笑いながらAさんは言われます。彼女は認知症の度合いも比較的軽く、入居前の生活を色濃く覚えている方です。最初の頃は脱走を試みたり、帰りたいと懇願してきたり、泣いたりと色々ありました。それでも今はグループホームという場所で精一杯前向きに過ごされています。そう考えると我々のやってきた事にもしっかりと意味があったのだと実感できます。
「年齢を重ねても新しい文明の利器を使いこなそうとしているのは凄いと思いますよ。」
素直に告げるとAさんはどこか恥ずかしそうに笑って
「ありがとうございます。なんだかお話していたらお腹が空いてきちゃった。久しぶりにカステラ食べたいですね」
いつの間にか文明堂の話になっていた。