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【心の余裕】  とちの実  渡邉

2022年04月30日 | とちの実

未知の感染症の報道が初めて日本に流れたのは2019年12月末でした。
世界が未曾有の事態に陥り、社会や暮らしの中に制限が課せられました。
人類がこの試練を強いられている最中、2022年2月ロシアがウクライナに軍事侵攻がはじまりました。この上、まさか戦争が始まるとは耳を疑いました。これに対して無力でいる事も考えされます。この背景の中、生活をしている私たちはどこかスッキリと晴れない、モヤモヤとした気持ち、なにか分からない不安なものが根底にあり、毎日を慌ただしく過ごしています。
しかし、とちの実では、これらの事が何事もなかった様に思えてしまいます。
 ご入居者さんはコロナや戦争も、テレビを見て口には出されますが、その重大さは一瞬、その後、語ることはほぼありません。日常生活を一生懸命行うことのほうが大事の様です。
 ご自身が、どうしたら良いのかよくわからない不安な状況があるにも関わらず、ご入居者さん同士が声を掛け合うと話を合わせている事、また噛み合っていないけれどその場をしのいでいる様子も、これまでの人生で、人と人との関わりを大切にしてきたことの現れでしょうか?または、世代的に集団で過ごす事を多く経験し、協調性があるからでしょうか?年を重ね、いろんな思いを持たれた方々です。習慣も違う赤の他人同士が、生活を共にされ暮らしていることはすごいことだと関心しています。
しかし、この狭い空間は、時々それぞれの思いや考えが行き違い小さなトラブルが発生します。
Aさんが、Bさんのふざけた言動に「大嫌い、バーカ」と言います。それでも気持ちが収まらないと物に当たります。お茶の入ったコップをガンとテーブルに叩きつけた事もありました。この様な状態は、さすがに私達の介入が必要です。険悪な状態が数時間続くことはありませんがまた同じことを繰り返す日々です。
 また、Cさんは、目についた物を自身の洋服の中に収集されます。向かいの座席にいるDさんのスリッパが他の物に見えてそれをいつの間にか、懐に入れているのです。Dさんも、Cさんに言われたままにすぐに差し出してしまうのです。
他にも、使った食器を洋服の中に入れてしまい、それを見ていたEさんが注意をするのですが、話が伝わらなくお互いが悶々とした状態になるのです。
 私たちは、ADLの状態で起こりやすい転倒や誤嚥などの事故も含めて可能な限り先回りのケアをすることが必要です。
 ところが、今年になってコロナの影響で、人員不足で支援が思うようにできない状況があり、これまでにない疲労感が心身ともに現れたと言っても過言ではありません。言い訳ではありませんが予測した対応が不十分になった事もあったかもしれません。
ただ、忙しい時ほど、慎重に、慌てずという気持ちを持たないといけないとこれまでも心がけていました。これまで以上に、入居者さんの生活史や、個性を知り得ること、視野を広げて観察できるようになりたいです。だれもがこんなご時世で暮らしづらいですが、心に余裕をもって対応できるようになりたいと感じています。落ち着いた対応が、入居者さんの安心に結びつき平穏な日常を提供できると考えています。

10:40 | Posted by jizai