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【いちにち、いちにちを大切に】  とちの実 渡邉

2021年10月31日 | とちの実

季節が変わる頃、新しいご入居者Aさんをむかえることとなりました。
Aさんの既往歴、ここに来られるまでの経緯、ご家族様とのご関係等、事前情報があり、私はイメージを膨らませていました。
ご入居2日目に初めてお会いしました。4日目に、夜勤で対応させてもらったのですが、入居間近の不安も加わって、思ったとおりいろんな事が心配でなかなか眠れず、夜間数時間、ご家族への思いを傾聴させてもらう状況でした。
しかし、数日後には不安はありながらもここの環境に慣れようとされています。
私を名前で読んでくれたり、私が休みの間にあった出来事を報告してくれたり、想定外の行動、言動があるAさんです。
以前、新人スタッフのOJT(現任訓練)期間中に、改めて自分自身も、ご入居者さんのアセスメントが重要であること。関わり、信頼関係を築くために必要不可欠である事を再認識した経験を「どっこいしょ」でお話しました。
 まさに、いまAさんのいろんなことが気になっていますが、他のご入居者さんも毎日変化が見られますので思うように行かない現状を歯がゆく思っています。
 Aさんは、記憶がしっかりされており、毎朝、お化粧もされて、身なりも気にされています。意欲があって、家政作業にも積極的に参加され、男女問わず他入居者さんと触れ合っています。すでにいろんなことを覚えていて、ここで長くいるかのような感じです。
そんな中、ご家族のことが心配で連絡を取りたいとしきりにおっしゃる時がありました。
ご家族様のご事情で思った通りに連絡できない状況に、施設長の提案で手紙を書いてみることで、かなり安心され、自発的に居室でお手紙を書かれています。
 私は先日初めて、その手紙を一緒に散歩がてらポストに出しに行きました。
妹さん達に送る手紙でした。ポストまではAさんの速度で10分近くかかる距離です。
行きは、「毎年、妹さん達と旅行にいっていたのだけれど、今年は私抜きで、2人で行ってきてと手紙に書いた」と話してくれました。
 ポストが見えてきて「あっあそこだったね。手紙が出せてよかった」とにっこり。
帰り道には、Aさんから妹さんのお辛い過去の経験、その時Aさんも一緒に辛かった事など話してくれました。辛い話でしたが、話したあとのAさんの表情は穏やかでした。
ほんの些細な時間でしたがAさんのことをたくさん知ることができました。
 いろんな可能性を持ったAさんが、ご自分らしく、楽しいと思える時間を多く持ち、とちの実で暮らしていけるように関わっていかなければと思っています。
ご入居者さんの、その日その日を大切に、しっかり目を見開いて、耳できいて、今何が必要なのか感じて、少しでも、何でもいいので「今日は良かったよ」思っていただけるような支援を努めたいです。

12:13 | Posted by jizai