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【小さな後悔】  つげの実 富永

2021年01月28日 | つげの実

新しく入ったご入居者は、消灯後や起床時前の早い時間に一人歩きする事がある。トイレや目の前の居室の場所もわからない様子で尿失禁も多々有りだ。しばらく付き添い誘導していたが、他のご入居者の介助もあり、気持ちに余裕がなくなってしまい、「いいかげんにして下さい、寝て下さい」ときつく言ってしまった。「どうして・・・」と困惑した顔で見返され、溜息が出てしまった。
同じようなドアが並び、どの扉をあけても知らない人が居て、自分の帰るべき場所が見つからなくて、すがる思いで私に声をかけたのだろうに。
夜勤では、びっくりしてしまう状況や出来事に遭遇する時がある。余程でない限り慌てたり苛立ったりせずに優しい介護をしようと思うのだが、時々、心無い対応をしている自分自身に後悔するのだ・・・まだまだ修行が足りないな。
 戦後の食糧難を生き抜き、今までの時代を支えてくれて来たお年寄りに、亡き父や母の面影が重なる。「私にも何か出来る事はないかな」との思いで始めた介護職。わからない事だらけだが、『風を摘み花を咲かせる』ように常に優しい対応が出来る人でありたいと思う。

17:25 | Posted by jizai