先日、Iさんが永眠されました。享年97歳でした。
ぶなの実に入居されて12年8ケ月が経過した所でした。
入居される前は、経管栄養でお食事されていましたが、どうしても経口摂取がしたいとのご希望があり、ぶなの実に入居されました。入居したばかりの時は体調を崩して入退院を繰り返されていたそうです。その後は日に日にお元気になり、食欲もあおりで、何よりもあんぱんやケーキがお好きでした。Iさんは失語症をお持ちでしたが、「はい」「わかった!」「まだ?」「そう?」など気持ちを伝えて下さいます。
ぶなの実のスタッフや実習生は、絶対にIさんに癒されると言います。
私もファンの一人です。普段は寡黙な方なのですが、時折見せてくれる笑顔に職員はメロメロです。
お買い物に行った際には「あるから」と左胸をたたき、お金を払おうとしてくださる姿が頼もしいのです。車いすで買い物に行った時には、籠の中をバランスが良いように整理してくださいます。時には長いごぼうが籠からはみ出していたのが気になり、ポキッと折ってしまわ れることも!!
レジに並ぶ際は、いつも左端のレーンと決まっています。なぜかというと、Iさんのお気に入りのお姉さんがいらっしゃるからです。そのお姉さんの時は笑顔が倍増します。
しばらく近くのスーパーへ行く事が出来ない期間が続くと、スーパーの方から「お父さんは元気?」と声をかけて頂けることがしばしば。さすが、ぶなの実のアイドルです。
お部屋から、Iさんの「はい」という声が聞こえないことがとても寂しいです。
8月には高校野球が始まります。天国でもお好きだった高校野球を観戦している事でしょう。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。