以前、当法人の代表の林田より「グループホームって何?」「認知症について説明して。」と会議の時などに質問されることがありました。スタッフは殆どが黙ってしまったり、誤った説明をしたことがありました。そこで林田より言われた言葉は「君たちはプロではないの?」という一言でした。続けて「例えば魚屋に魚を買いに行き、店員さんが魚について説明できなかったら、どう思う?」と言う言葉でした。
友達や知人に会うと「グループホームで働いているんだね。グループホームってお年寄りに何でもさせるんでしょ。」と言われることがあります。グループホームという存在の認知度はかなり高くなってはいるものの、正しく理解されていない事を実感する時です。
私たちが勤務するグループホームでは「自立支援」を行っています。グループホームは介護保険法の基本方針の中に「利用者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにするものでなけれなばならない。」という一文がありますが、この事が何を示しているのか、をプロとして深く考え続けることができなければ、正しく自立支援が行えないのは当然です。
例えば「Aさん、ご飯を作って頂けますか。」とスタッフに声をかけられ「いいよ。」と応じる入居者さん。「私。自立支援出来ている。」と思いがちです。ここでプロは「Aさんは食事を作る必要がある。」ということをどのように気づくのか。また、献立をどのように考えるのか。食材を見て組み立てられるのか等々、私たちは日々の支援を通し考え、知ります。「ご飯を作っていただけますか。」の一言でその方の「有する能力」を一瞬で奪い去ってしまいかねません。生活の主体はあくまでも入居者さんであり、私たちはあくまでも支援をする立場です。出来なくなっている事を支援するのは当然ですが、入居者さんの「有する能力」をどれだけ知り、それをどれだけ発揮して頂けるか、また3か月先、半年先、1年先と入居者さんがお元気で、「有する能力」を発揮し、生活して頂けるかがこの仕事の難しさでもあり、面白さでもあります。
ここ数年は介護の仕事が初めてというスタッフが入職することが殆どです。人手が足りない中、基本的な介護技術を覚え、そのほか必要な業務を覚え、自立支援を行うというのは容易なことではないと思っています。しかし、様々な理由はあるにしても、この仕事を職業として選んだ以上は世間からプロとして見られます。そうした中で、私は正しく自立支援について伝え、入居者さんを通し、共に考えていく必要があると考えています。グループホームが「なんでもさせているんでしょ。」と言われる日が無くなるよう、プロとしてこの仕事に誇りを持ち続けたいと思います。