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【焦らず、慌てず、諦めず】  ぶなの実3F 原田

2016年08月31日 | ぶなの実::ぶなの実3F

ぶなの実で働き始めて3年以上経ちますが、その中でも出会ってから現在に至るまでの間、私にとって大切なことを教えていただいた入居者様がいます。Mさんという方です。
Mさんと出会ったのは1年半前になりますが、入居された頃は、思ったことをストレートに表現し、ご自身の考えを強く押し通される方であったので、正直なところ何を話したらよいかわからず、敬遠してしまうことが多かったのです。そしてある日、ちょっとした出来事が起こります。Mさんが突然ご兄弟のいる新橋へ行きたいとおっしゃって、外出されようと下へ行こうとしていました。私が、「いっしょに行きませんか?」と尋ねると、「いいわよ。一人で行くから。」とおっしゃって、そのまま下へ降り一人で駅へ向かわれました。まだ入居されて間もないころであったので、ご自身で戻ってこられるか心配になり、私も後ろから見守りながら付いて行きました。駅に着きご自身できっぷを購入され、そのまま地下鉄に乗り、目的地の手前の駅で降りられ、近くの喫茶店でお茶やコーヒーなどを嗜まれていました。幾度となく私が声をかけると、「来ないでよ。」と言われ、なかなか私の話を聞こうとされませんでした。もう自分の声かけでは聞いてもらえないかもしれないと諦めかけて、何度も代表や当時の管理者に対応方法を相談していました。そして見守ること約2時間。別の喫茶店でお茶を嗜まれていたときに、私は外からMさんの様子を30分ほどでしょうか、待っていたときに、ふとMさんが不安そうな表情をされたのです。私はMさんが寂しいのでは?と感じたので、再びMさんのところへ向かい、「そろそろ暗くなってきたのでどうしましょうか?」と声をかけてみました。すると、「そうね。もう帰ろうかな。でも、どうやったら帰れるかわからない。」とおっしゃったのです。私は「よかったら一緒に帰りましょう。」と話したところ、「ありがとうね。帰ろうか。」とおっしゃったのです。4時間ほど前は私と一緒に行くことを嫌がっていたMさんが、まるで別人のような印象を受け、その時私はとても驚いていたことをはっきりと覚えています。無事にぶなの実に戻り、Mさんは疲れたのかそのまま居室へ戻られました。
何も聞いてもらえなかったときは、焦ったり、慌てたり、諦めようとしましたが、表情や行動が変化する瞬間が、相手の気持ちが切り替わっているサインかもしれません。この瞬間を待つことも、とても大切なことだと感じます。この時に声をかけて会話をすれば、相手の気持ちを掴んでいけることに気付いた良い出来事でした。
今となっては、Mさんもぶなの実の生活に慣れてこられ、私達職員や入居者様と世間話などの会話を楽しんでいます。

10:05 | Posted by admin