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【『祈り』(気持ち・ことば・こころ・想念)】   つげの実アパート 礒田

2011年07月03日 | つげの実アパート

私は『祈り』と聞くと、跪いて両手を胸元で組み何か許しを請うような、特定の宗教をイメージしていました。
ですが、3・11以降「ただ無事を願う」ことや「少しでも役に立ちたい」という気持ちそのものが『祈り』なのではないかと、『祈り』に対する概念が変わってきました。
わかりやすいのは『音楽』。歌や楽器を奏でる人は演奏に込める気持ちが『祈り』となります。なぜ、コンサート会場で直に演奏を聴くと感動的なのか、聴衆も一体となれるのかがわかる気がします。そこに込められる『想い・想念』が共鳴するからなのでしょう。
もっと単純なものでは、「行ってらっしゃい、気をつけて」という言葉にも『想い』が込められて守られるということになるといいます。逆の作用では『呪い』の類ですね。『言霊』なども字の如く “ことばにエネルギーがある” とする考えです。
『水からの伝言』(江本勝著)という本があります。水に感謝の言葉をかけると美しい結晶になり、否定的な言葉だと美しい結晶にならないというのです。
アメリカでは『祈り』の研究がされており、ハーバード大学のハーバード・ベンソン教授は『祈り』が呼吸数、心拍数、二酸化炭素排出量、酸素消費量の抑制を確認し、ガンや糖尿病、不妊症などの病気に効果的に働くということが確かめられているそうです。
世界に先駆けてヒト・レニン遺伝子(高血圧の原因である酵素)の解読に成功した、筑波大学名誉教授で遺伝子の研究をされている村上和雄氏は、「通常の人間の遺伝子で働いているのは全体の5%~10%に過ぎない。40年近い研究生活の結論として“人の想いが遺伝子の働き(オン・オフ)を変えることができる”と確信するようになった」と述べています。
先日、佐藤初女さんという90歳の女性の方の講演会へ行ってきました。ご自身の病気の体験から、薬に頼るのではなく、毎日の食べる物が重要であると日々の生活を通して伝えていらっしゃいます。心を病んだ多くの方々が初女さんの元を訪れ、食事を共にすることで癒され、心を開いていくというのです。初女さんは、食材のいのちを生かし感謝していただくことで健康に繋がると、一見面倒に思われることに対しても惜しみなく手間暇をかけます。梅干にする梅を干す際にも一粒一粒がまるで子どものように丁寧に扱います。おむすびを握る際は美味しさを損なわないようラップやホイルではなくタオルで包むといいます。お米の水加減も何カップではなく、その時々の状態を確認しながら決めるといいます。そして「私にとって生活すべてが『祈り』です」という言葉が印象的でした。
今、世界中のあらゆるところから日本のために祈ってくれていると聞きます。私たちも身近なことに『気持ちを込める』ことを意識するだけで何かが変わってくるのではないかと感じます。そして重要なことは、『どういう想いを込めているか』ということだと思います。これは結構曲者で、自分自身は「よかれ」と思ってやっているつもりでも違う期待を含んでいる可能性や自己欺瞞、無意識による自動反応の場合があるのです…
たかが『心の中のこと』ですが、そういうことを如実に教えてくれるのが入居者の方々です。今思えば、『祈り』は純粋に辿ってゆくと『感謝』に繋がるのだと、関わった方々から教わっている気がします。生き方を通して太陽のようにじんわりと暖かく、時には北風や嵐のように(笑)体現してくださいます。ありがたいことです。
『祈り』という一見前時代的なものが、重要な時代になるのではないかと予感しています。

15:16 | Posted by admin