10月いっぱいで退職することになりました。
とちの実で仕事をはじめたのは5年前の元旦のことでした。初勤務でおせちを囲み、皆でお正月のお祝いをしたのが昨日のことのように思い出されます。当時からいらっしゃった入居者さんは今では5名となりました。退去された方、そして亡くなられた方もいて、月日の経つのを実感する思いであります。
とちの実での6年弱の歳月は、わたしにとっては宝物のようです。入居者さんとともに過ごし、様々な出来事や思いを共有させてもらったことに感謝の念が絶えません。時にはケンカもし、時には大笑いし、励まされ慰められ、いろんなことを教えてもらい・・・そして、数えきれない程の生きる楽しみを頂いたこと、本当にありがたく思います。
スタッフの皆さんもとても素敵な方たちで、このようなスタッフたちと一緒に仕事ができたことにもとても感謝しております。入居者さんやそのご家族、スタッフたち、地域の方々、それぞれの個性が重なりあって混ざりあって、とちの実という素晴らしい空間が存在しているのだと思います。
人はだいぶ長生きできるようになりました。とはいえ、誰しも若いまま生きてはいられず、年を重ねていきます。自分の思う通りに体を動かしたり、頭を動かしたりすることができなくなった時、そうでなくとも環境や人間関係の変化の中で自分らしさが失われそうな時、病気になった時、どうしたらいいでしょう。様々な制度を利用して支援を受けるとかそういうレベルではなくて、ちょっと飛躍しますが、日本における家族のあり方とか、生活するために働くという社会のあり方とか、国の施策のあり方とか・・・、まあ難しいことはわからないのですが、そういうことから考えてしまいます。わたしの感じていることとしては、日本は生きづらい国だということです。もっと自然体で生きられて、自然体で死を迎えられればいいのにな・・・と思うのです。
とちの実での経験は、認知症という状態にある方が少しでもその人らしく生きていけるようにするという、ひとつのあり方としてグループホームが存在するのだなということを考えさせてくれました。これからも介護の仕事に携わっていきます。人が生きていくということを考えさせてくれる、この仕事に感謝です。
みなさま、どうもありがとうございました。